ジュニア・マンスを偲ぶ・2
ドイツの名門ジャズ・レーベル、エンヤ・レーベル(Enja Label)。エンヤのカタログを見渡すと、フリー・ジャズ、スピリチュアル・ジャズのアルバムが多くリリースされている。欧州はドイツ出身のジャズ・レーベルなので、とにかく、内容的に硬派でストイックなフリー&スピリチュアル・ジャズな演奏がほとんどなんだが、中には、内容の濃い「ネオ・ハードバップ」な盤をリリースしているから「隅に置けない」。
Junior Mance『At Town Hall Vol.1&2』(写真)。1995年、NYの「Flushing Town Hall」でのライヴ録音。Enjaレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Junior Mance (p), Houston Person (ts), Calvin Hill (b), Alvin Queen (ds)。ピアニストのジュニア・マンスがリーダー、フロントにテナー・サックス奏者のヒューストン・パーソンを迎えた、カルテット編成。
録音当時、既に大ベテラン・クラスのピアニスト、「総合力で勝負する」タイプを代表する1人のジュニア・マンスであるが、このライヴ盤でも、その個性を遺憾なく発揮している。ファンキーなノリとグルーヴィなフレーズ、端正で明確なタッチ。堅実かつリズミカルな左手。その弾きっぷりはダイナミックで、バリバリ弾き進めるバップなピアノである。
そんなマンスのピアノが2枚のライヴ盤で、心ゆくまで楽しめる。リーダーのマンスが録音当時、67歳。ベースのカルヴィン・ヒルは50歳。ドラムのアルヴィン・クイーンは45歳。フロント・テナーのヒューストン・パーソンは、61歳。ベテランから中堅のメンバーでの演奏であるが、お互いにインタープレイを楽しんでいるような、溌剌としたパフォーマンスが見事である。
そして、Vol.1&2、ともに選曲が良い。マンスの「総合力で勝負する」タイプが、その個性を十分に発揮出来るスタンダード曲が効果的にチョイスされていて、マンス独特のスタンダード曲の解釈が良く判るし、アレンジの妙がしっかりと体感出来る。特にVol.2が楽しい。冒頭の「Blues in the Closet」、3曲目の「My Romance」そしてラストの「Mercy, Mercy, Mercy」、意外と癖のあるスタンダード曲だが、なかなかの解釈とアレンジで、小粋な演奏に仕上がっている。
なかなか決定盤に恵まれないマンスであるが、Enjaレーベル、良いライヴ盤を残してくれた、と思っている。ライヴ演奏をそのままアルバム化している様で、冗長なところやラフなところもあるにはある。が、逆にそれが臨場感に感じられて、僕にとってはなかなかのライヴ盤として、マンスを聴きたい時、時々引きずり出しては、繰り返し聴いている。歴史を変えるような名盤では無いが、味のある、小粋な内容の好盤として、長年、愛聴している。
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