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2022年1月18日 (火曜日)

T-Square『FLY! FLY! FLY!』

日本のフュージョン・ジャズの「バンド・サウンド」については、カシオペアとT-スクエアの2つの代表的バンドの音の個性がそのまま、日本のフュージョン・ジャズの「バンド・サウンド」の個性になった。呆れるほどの高テクニック、スピード感溢れる高速フレーズ、バラードについてはキャッチャーで印象的なフレーズの連発。当然、本場の様な「粘る様なファンクネス」は皆無。

T-Square『FLY! FLY! FLY!』(写真左)。T-SQUARE48枚目のアルバム。2021年4月のリリース。ちなみにパーソネルは、安藤正容 (g), 伊東たけし(as, EWI), 坂東慧 (ds) のオリジナル・メンバーに加えて、サポートとして、田中晋吾 (b, #1, 3, 5-7), Taiki Tsuyama (b, #2), 森光奏太 (b, #4, 8, 9), 白井アキト (key), 伊沢麻未 (vo, #3) が参加している。

1978年のプロデビューから43年間に渡ってバンドを牽引し、支え続けたリーダーであり、作曲家、ギタリストの安藤正容が、本作への参加と2021年のコンサートツアーをもって退団。つまり、本作は安藤正容がメンバーとして参加した最後のアルバムである。43年間、ずっと変わらずT-Squareのメンバーだった安藤の退団の報はショックだった。
 

Fly-fly-fly

 
相変わらずの「T-スクエアの音世界」である。これだけサウンドの根幹を変えずにやってきたら、マンネリに陥ったりする部分があったりするのだが、それが全く感じられないところが凄い。1曲目の「閃光」を聴くだけで、これは「T-スクエアの音」やな、と当たりが付く。ライトでポップでスピード感抜群。キャッチャーなフレーズがポジティヴに響く。

どこか今までのT-スクエアの音に無い、新しい雰囲気が感じられるのだが、これは、恐らく、全9曲中6曲を作曲している、最も若いメンバー板東慧の楽曲が柱となっているからだろう。従来のT-スクエアらしさを醸し出しつつ、若かりし頃の「やんちゃな音」を差し引いた、堅実で落ち着いたリズム&ビートをベースに、大人のT-スクエアの音で、ガンガンに攻めている。

43年間に渡ってバンドを牽引し、支え続けたリーダーであり、ギタリストであった安藤がいなくなる。恐らく、次作というか、安藤脱退後の、伊東と坂東のユニット&サポートメンバーによる「T-SQUARE alpha」の音は、「ポップ・インストゥルメンタル・バンド」の前提は変わらないのだろうが、ガラッと変わってくるのだろう。日本のフュージョン・ジャズの「1つの時代」が終わった様な気がする。
 
 
 
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