ブルーノートの懐の深さを感じる
ブルーノート・レーベル4000番台は、純粋にジャズ出身のミュージシャンばかりで無く、R&B畑出身のミュージシャンにもリーダー作のチャンスを与えている。こういうところは、本当にブルーノートって懐が深い。他のレーベルとは異なり、レーベルとして、商業主義とはかけ離れた、確固たるアルバム制作の方針があるからだろう。
Fred Jackson『Hootin' 'n Tootin'』(写真左)。1962年2月5日の録音。ブルーノートの4094番。ちなみにパーソネルは、Fred Jackson (ts), Earl Van Dyke (org), Willie Jones (g), Wilbert Hogan (ds)。フレッド・ジャクソンは、R&B出身のテナー・サックス奏者。ジャクソンのテナーがフロント1管、ギター、オルガン、ドラムがリズム隊の変則カルテット編成。
リトル・リチャーズのバンド出身という変わった経歴を持つテナー奏者のリーダー作である。確かに、どっぷりジャズなテナー・サックスでは無い。どこかポップ、ブルージーでソウルフルなテナー・サックスで、後の「ソウル・ジャズ」の先駆け的な、ファンキーでR&B志向のジャズを聴くことが出来る。決して、メインストリームなジャズでは無い。
全曲オリジナルというところも、メインストリームなジャズっぽく無い。どの曲もファンキーでソウルフルな演奏で、1950年代にジャズ界を席巻した「ハードバップ」や、マイルスが先鞭をつけた「モード・ジャズ」などとは、音の雰囲気が全く異なる。ジャクソンのテナーもR&B志向のファンクネス漂う、ブルージーで、どこか親しみ易いキャッチャーな音が特徴的。聴いていて「楽しい」テナー・サックスである。
後のモータウンの人気オルガン奏者、アール・ヴァン・ダイクのプレイも聴きどころ。これまた、ジミー・スミスなどの、いかにもストイックでジャジーなオルガンとは全く異なる、親しみ易くソウルフルな、そして、どこかポップなオルガンは、純ジャズの世界には無い響き。そして、素姓は良く判らないが、ウィリー・ジョーンズのこってこてソウルフルなギターも良い味を出している。
このジャクソン盤はどう聴いても、ハードバップでも無ければ、ファンキー・ジャズでも無い。明らかに後のソウル・ジャズの先駆的な音と言える。収録された曲は全てジャクソンのオリジナルで固められ、ジャズ・スタンダード曲は皆無。そういう面でも、この盤は、ブルーノートにおける「異色作」であり、逆にジャクソンの意欲作であり、ソウル・ジャズの先駆け的な好盤と言える。
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