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2022年1月25日 (火曜日)

「with コロナ」なライヴ録音盤

昨日に引き続き「Smoke Sessions Records」の新盤の話題を。ジャズ・ドラマーのリーダー作というのは、その数はあまり多く無い。ドラムはバックに回ってリズム&ビートを供給する「リズム隊」の役割が主。かつ、打楽器という特性上、旋律が奏でられないので、管楽器やピアノの様に、その旋律のパフォーマンスで自己を表現する訳にもいかないので、ドラマーのリーダー作は数が少ない。

Joe Farnsworth『New York Attitude』。2021年2月19-21日、NYの「Smoke Jazz & Supper Club」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Joe Farnsworth (ds), Kenny Barron (p), Peter Washington (b)。前作『Time to Swing』に続いて、ファンズワース、バロン、ワシントンのピアノ・トリオ編成。

録音当時、リーダーのドラマー、ファンズワースは53歳。ベースのワシントンは56歳。ピアノのバロンは77歳。バロンが「レジェンド級」、ファンズワースとワシントンは「中堅」。ピアノとリズム隊、親子ほど歳の離れたピアノ・トリオ。演奏内容については、バロンに合わせるか、と思いきや、リズム隊のリズム&ビートは「ネオ・ハードバップ」な雰囲気で「新しい」。
 

New-york-attitude_joe-farnsworth

 
そんな新しい響きの「ネオ・ハードバップ」なリズム&ビートを得て、バロンがバリバリ弾きまくる。バロンは高テクニックで歌心満点、総合力で勝負するタイプのピアニストで、共演のリズム隊のリズム&ビートの個性に合わせて、最適な弾き回しをやってのける柔軟性を兼ね備えている。録音当時77歳のレジェンド級のピアノが、新しい響きの、現代のネオ・ハードバップに合致したフレーズを弾きまくるのだから痛快だ。

ファンズワースのドラミングは、伝統的なバップ・ドラミング。伝統的ではあるが、おかずの入れ方とか、タイム感覚とか、従来に無いドラムの響きが「新しい」。今までに聴いた記憶が無い、良い意味で正統派でユニークなドラミング。そんな「新しい」響きのドラミングで、変幻自在、硬軟自在、緩急自在に、バンド・サウンドをコントロールし、鼓舞する。ドラム・ソロも要所要所で聴くことが出来て、そんな「新しい」響きを堪能することが出来る。

このライヴ盤は、コロナ禍でNYがまだまだ大変だった2021年2月の録音になる。「Smoke Jazz & Supper Club」での無観客ライヴ録音で、トリオの3人はマスク姿、そして、お互いがアクリルボードで仕切られる。それでも、オンラインで鑑賞しているジャズ者の為に、最高のパフォーマンスを繰り広げたそうだ。コロナ禍に負けない、withコロナなライヴ録音。そんなライヴ録音の裏事情を知れば、このライヴ盤も更に味わい深いものになる。
 
 
 
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