ハービー&ジョーの魅力的デュオ
パブロ・レーベル(Pablo Label)は、1970年代を中心に、メインストリームな純ジャズのアルバムをリリースしたジャズ専門レーベルである。
僕が本格的にジャズを聴き始めたのが1970年代終盤なのだが、パブロ・レーベルの盤は基本的に敬遠していた。我が国のジャズ・シーンでは、パブロは「昔の名前で出ています的な懐メロ・ジャズ」と揶揄されていて、昔の懐メロ的な純ジャズを聴いても仕方が無い、という風潮があった。加えて、当時はフュージョン・ジャズの全盛期。ジャズの歴史的な定盤とフュージョンの人気盤を入手するだけで、手元の資金が底を突いていた、ということもあった。
よって、ジャズ喫茶でパブロ盤をリクエストしようものなら(当時、硬派なジャズ喫茶だったら、パブロ盤は置いてなかったかもしれないが)、白い目で見られそうでリクエストは出来ず、レコード屋の棚で、こんなアルバムが出てるんやなあ、とジャケットを眺めるに留めていた。
が、21世紀に入ってから、パブロ盤は比較的入手し易くなり、今では音楽のサブスク・サイトで、パブロの有名盤は殆ど聴くことが出来る様になった。で、自分の耳でパブロ盤を聴き直してみて、「昔の名前で出ています的な懐メロ・ジャズ」というのは「偏った」評価だったようやなあ、とつくづく思った。パブロって、結構、内容の良い盤をリリースしているのだ。
Herb Ellis & Joe Pass『Two for the Road』(写真)。1974年1月30日〜2月20日の録音。ちなみにパーソネルは、Herb Ellis, Joe Pass (g)。ハーブ・エリス(ハービー)、ジョー・パス(ジョー)、ジャズ・ギターのレジェンド級の名手2人の「デュオ」編成。ギターは、旋律楽器にもリズム楽器にもなる。ギターのデュオはそんなギターの特性を活かして、2人でどうやって役割分担しながら、インタープレイを展開するか、が聴きどころである。
当然、ギタリスト同士の相性や人間的な「好き嫌い」も重要な要素となる訳だが、ハービーとジョーについては、その点は全く問題が無かった様である。冒頭の手垢の付いた、どスタンダード曲「Love for Sale」を聴くと良く判るのだが、ハービーもジョーも「攻めている」。懐メロ・ジャズよろしく、イージーリスニング風に日和っても良いのだが、この2人はそうはならない。
ユニゾン&ハーモニーは意外と斬新な響き、アドリブ・フレーズもこれまた意外と尖っている。とてもポジティヴで攻めたデュオ演奏になっていて、聴き応え十分。収録曲の殆どがスタンダード曲なんだが、どの演奏も「手垢の付いた」感が全く無い。録音当時、ハービー53歳、ジョー45歳。ジャズマンとしては油の乗りきったバリバリの中堅。充実のパフォーマンスである。
パブロ・レーベルの盤はどれもが大体そうなんだが、ジャケットのデザインが「イマイチ」。この盤もジャケットのイメージで損をしているように感じるが、この盤は「イケて」いる。ハービーとジョーの「ヴァーチュオーゾ」なギター演奏を心ゆくまで堪能出来ます。
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