サン・ラ・アーケストラの新盤
サン・ラ(Sun Ra)。米国アラバマ州出身のバンドリーダー&キーボーディスト。ジャズとしては、基本はフリー、スピリチュアル、アヴァンギャルドの類なのだが、ニューオリンズ、スウィング、ビバップ、ドゥーワップ、R&B、アフロ・キューバンなど、様々な音要素も融合していて、ワールド・ミュージック志向のニュー・ジャズにも通じる独特の音世界が個性だった。
とにかく「変人」だった。独特の音楽性を持ったジャズだけでなく、自らを土星生まれと語り、独自の宇宙哲学とパフォーマンスがユニーク。超現実的宇宙音楽の創造者を自認していた。しかし、奏でる音は実に真っ当なジャズであり、音だけ聴いていたら、かなりハイレベルのアヴァンギャルド・ジャズ、もしくは、ワールド・ミュージック志向のニュー・ジャズな趣きは、かなり聴き応えがある。
Sun Ra Arkestra『Swirling』(写真左)。2021年12月のリリース。15人編成の「サン・ラ・アーケストラ」の新盤。サン・ラの1993年の他界(宇宙への帰還)後、現サン・ラー・アーケストラによるこの20年間での最初のスタジオ録音アルバムである。1950年代の最初期からのメンバーであるサックス奏者の「マーシャル・アレン」が中心になって、アーケストラをとりまとめている。
本作『Swirling(渦を巻く)』は、内容的には、往年のアーケストラのレパートリーをスタジオで実演したもの。ライヴ録音が主なサン・ラー・アーケストラにとっては異色の企画。アレン作の「Swirling」と、フレッチャー・ヘンダーソンの「Queer Notions」以外、「Astro Black」「Rocket No.9」「Angels And Demons At Play」から「Darkness」までサン・ラの作曲作品で統一されている。
改めて、今回、サン・ラ・アーケストラの演奏を聴いてみて、やっぱり「ええなあ」と思った。ゲテモノ扱いされるのが常な「サン・ラ」だが、音的には正統な「融合」の音楽、いわゆる「ジャズ」を地で行っている音作り。特に即興性を重視していて、アヴァンギャルド志向の演奏には定評がある。そんな中に、ポップなドゥーワップ、R&B、アフロが入ってきたり、伝統的なニューオリンズ、スウィング、ビバップな手法が入ってきたりで、聴いていてかなり楽しい。
15人編成のアーケストラで、一斉にアヴァンギャルド&スピリチュアルな演奏を繰り広げるのだが、不思議な統一感と一体感があって、意外と聴きやすい。60年以上の活動歴のサン・ラ・アーケストラ。ゲテモノ扱いされがちなのだが、正統な「融合のジャズ」を展開する、唯一無二のジャズ・オーケストラである。
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