やっとバイラークの個性全開
ヴィーナス・レコードについては「コマーシャル先行、懐メロ志向のアルバム作り」のアルバム制作の志向もあるが、硬派なジャズ・レーベルとしてのアルバム制作の志向もある。以前から第一線で活躍していたが、いまいち「決め手」に欠けるジャズマンをピックアップしてリーダー作を制作し、以前とは違う「新しい成果」を上げた例もある。
Richie Beirach Trio『What Is This Thing Called Love?』(写真左)。邦題『恋とは何でしょう』。直訳のまんま、である。
1999年6月18, 19日、NYでの録音。ちなみにパーソネルは、Richie Beirach (p), George Mraz (b), Billy Hart (ds)。リーダーのバイラークのピアノが印象的なモーダルなフレーズを撒き散らす。耽美的で柔軟度の高いモードな響きが芳しい秀作である。
バイラークのピアノは、耽美的で柔軟度の高い「多弁」な弾き回しが個性。コルトレーンの「シーツ・オブ・サウンド」ほどでは無いが、フレーズに「間」や「空間」があれば、音符で埋め尽くす様な「多弁」な弾き回し。しかし、初期のECMレーベルでの諸作は、ECMのレーベル色が勝って、耽美的で柔軟度の高い部分だけがクローズアップされた。
どうも、このECMレーベル時代の諸作の印象が強いのが良く無かったのか、ECMレーベルを離れてからのバイラークのリーダー作については「隔靴掻痒」の感が強かった。「もっと弾きたいんやないの」と感じるくらい、耽美的な面を前へ出そうとして、不完全燃焼っぽいパフォーマンスがとにかく「もどかしい」。
しかし、このヴィーナス・レコードに出会い、プロデューサーの原哲夫氏に出会ったことで、バイラークは吹っ切れた様に感じる。とにかく「弾きまくっている」。全編に渡って、耽美的で柔軟度が高いが、とにかく「多弁」な弾き回し。
バイラークのライフワーク的演奏の「ナーディス」、そして「枯葉」「恋とは何でしょう」などの「どスタンダード曲」についても、「間」や「空間」があれば、音符で埋め尽くす様な「多弁」な弾き回し。
これぞ「バイラークのピアノ」という様なパフォーマンスは爽快ですらある。バイラークはヴィーナス・レコードに出会って、その個性を100%発揮出来たのでは無いかと感じている。
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