マッキンタイヤーの充実の好盤
コペンハーゲンが拠点の欧州ジャズ・レーベルの老舗のひとつ「スティープルチェイス・レーベル」。このレーベルには、米国のレーベルではパッとしなかったが、このスティープルチェイス・レーベルにてリーダー作を制作し、なぜか頭角を現した、不思議なジャズマンがいる。例えば「Ken McIntyre(ケン・マッキンタイヤー)」はそんな1人である。
Ken McIntyre(ケン・マッキンタイヤー)は、1931年9月、米国はボストンの生まれ。基本はアルト・サックス奏者。その他、フルートなども吹き、他の楽器、ベースやピアノも弾く「マルチ・インストルメンタル」なジャズマンである。
1960年代前半に4枚のリーダー作を残したがパッとせず、1970年代は、スティープルチェイスに移籍して、5枚のリーダー作を残したが、これがどれもが好盤揃い。恐らく、スティープルチェイスの総帥プロデューサー、ニルス・ウインターの手腕の賜だろう。
Ken McIntyre『Home』(写真左)。1975年6月23日、NY出の録音。スティープルチェイス・レーベルのSCS1039番。ちなみにパーソネルは、Ken McIntyre (as, fl, bassoon, b-cl), Jaki Byard (p, el-p), Reggie Workman(b), Andrei Strobert (ds)。ケン・マッキンタイヤーのアルト・サックスがワンホーンのカルテット編成。マッキンタイヤーの通算6枚目のリーダー作。
内容的には、1960年代後半、米国NYで流行した、自由度の高いモーダルなジャズ。ストレートでモーダルな吹きっぷりは、アルト・サックスを吹くコルトレーンの様でもあり、時々、アブストラクトにスピリチュアルに捻れるところは、エリック・ドルフィーの影を強く感じる。
全ての曲が、マッキンタイヤーの自作曲であるということ、そして、ワンホーン・カルテットということもあって、伸び伸びとポジティヴにアルト・サックスを吹きまくっている。フリーにアブストラクトに、ブロウに様々な色づけをしつつ、フリー&アブストラクトに傾くのはほんの少しなので、フリー嫌いのジャズ者の耳にも十分に鑑賞に耐える。
バックのリズム・セクションも良い感じ。幾何学模様のモーダルなバイアードのピアノが、マッキンタイヤーのアルト・サックスにバッチリ合っていて、ワークマンのこれまた重量級モーダルなベースが、演奏の底をガッチリ支えている。
マッキンタイヤーの、演奏家として充実してきた40歳代の「中堅ジャズマン」の記録として、充実の好盤である。
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