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2021年12月 7日 (火曜日)

ノラ・ジョーンズ、初のライブ盤

以前より、ノラ・ジョーンズ(Norah Jones)のボーカルが気に入っている。デビュー当時からずっとアルバムを追いかけているが、声そのものも良いが、ノラの唄う音世界が良い。

最初はコンテンポラリー・ジャズっぽい音世界だったが、少しずつ幅を拡げて、米国ルーツ・ミュージックをベースとしたものになり、加えて、米国ルーツ・ロックの要素も交えて、現代のフュージョン・ジャズっぽい、1970年代であれば、アダルト・オリエンテッド・ロック(AOR)ぽい音世界にもなっていて、これはこれで「クールじゃないか」という感じで、愛でている。

Norah Jones『'Til We Meet Again』(写真左)。今年4月、ブルーノート・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、
基本セットとして、Norah Jones (vo, key, g), Pete Remm (org), Christopher Thomas, Jesse Murphy (b), Brian Blade (ds), Jesse Harris (g),Jorge Continentino (fl), Marcelo Costa (perc) という感じ 。

このライヴ盤の選曲については、ノラ・ジョーンズのキャリア初となるライヴ・アルバムである。2017~19年に行ったライヴから、ノラ自身の手で「お気に入りのテイク」が選ばれている。選曲を見れば、オールタイム・ベスト的なラインナップになっている。これが実に良い。ベスト・アルバムというよりは、充実のライブ盤という趣。
 

Til-we-meet-again

 
2002年のデビュー作『Come Away With Me』以来、ライヴ盤が無かったというのは意外だったが、素晴らしい内容のライヴ盤に気分は「ウハウハ」である(笑)。冒頭、ハンク・ウィリアムス作の名曲「Cold, Cold, Heart」のカヴァーから始まり、基本的に音楽仲間との共作も含むノラ自身のオリジナル曲で占められている。

ラストに(日本盤には、大阪城ホールで録音された「サンライズ」が追加されているが)、もう一曲カヴァー曲「Black Hole Sun」が入っている。2017年に亡くなったクリス・コーネルへの追悼として、コーネルがサウンドガーデンとして最後にライヴを行なった会場、米ミシガン州デトロイトのフォックス・シアターで録音された音源。これが実に良い。いやいや、ノラってカヴァーが上手い。原曲の良さを更に引き出して、しみじみと聴かせてくれる。

バンド・サウンドとしては、まず、ノラのキーボードが上手い。改めて「こんなに上手かったんだ」と感心した。そして、リズム&ビートをグッと占めているのが、僕の最近のお気に入りのドラマー、ブライアン・ブレイド。曲によって、ジャジーに、ブルージーに、そして、ファンキーに、変幻自在のリズム&ビートを供給して、ノラのボーカルを引き立てている。

このライヴ盤のタイトルが『'Til We Meet Again』。訳せば「また会える日まで」。コロナ禍の現在において、実に心に響くタイトルだ。ライヴを容易に開催することができない時代に、ノラからの臨場感溢れる、優れた内容のライヴ盤である。
 
 
 
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