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2021年11月24日 (水曜日)

ジャズ喫茶で流したい・222

ブルーノート・レーベルが、他のレーベルと比べて優れているのは、1950年代〜1960年代のジャズ・シーンを俯瞰的に見て、売れ筋で無いにしろ、その時代のジャズのトレンド、ジャズの個性を踏まえた、ジャズマンのチョイスとリーダー作の制作にある。ブルーノート・レーベルの諸作をカタログ順に聴くだけで、1950年代〜1960年代のジャズの歴史が判る、と言われるのは、まさに「言い得て妙」。

その20年間のジャズのトレンド、演奏スタイルの全てが押さえられている。後に有名となるジャズマンがチョイスされていない、という指摘もあるが、それはそのジャズマンが「ジャンキー(麻薬常習者)」だったからだろう。ブルーノート・レーベルは「ジャンキー」を基本的にチョイスしなかった。

Leo Parker『Let Me Tell You 'Bout It』(写真左)。1961年9月9日の録音。ブルーノートの4087番。ちなみにパーソネルは、Leo Parker (bs), John Burks (tp), Bill Swindell (ts), Yusef Salim (p), Stan Conover (b), Purnell Rice (ds)。リーダーのレオ・パーカーのバリトン・サックス(バリサク)とトランペット、テナー・サックスのフロント3管の重厚なセクステット編成。
 

Let-me-tell-you-bout-it

 
セクステットのメンバーを見渡すと、メインストリームなジャズ畑にはいない、通常のジャズ者から見れば「知らない名前」ばかりが並んでいる。リーダーのレオ・パーカーは、バップを始める以前はR&Bバンドに参加してたという。メンバーはR&B系のミュージシャンがメイン。そう、この盤、ビ・バップとR&Bが混在した様な音世界。これが実にユニーク。純ジャズなハードバップとはちょっと雰囲気が異なる、ビートの効いた、どこかダンサフルでソウルフルな「バップ」。

そして、レオ・パーカーの担当楽器のバリサクの音がこれまたユニーク。テナーよりも低い、重低音が鳴り響く大柄なサックスなんだが、この音がこれまた、こってこて「ファンキーでソウルフル」。重低音を担当する楽器なので、速いフレーズが苦手、そして、ピッチが緩みがち。緩みそうで緩まずバリバリ吹きまくる。そんな「スリリングなユルユル感」がたまらない。R&Bなダンサフルなフレーズが織り込まれたバリサクは唯一無二。

こんなR&B系のメンバーが奏でるジャズをしっかり記録しているところが、実にブルーノートらしい。音作りも、R&B系のポップなジャズにも関わらず、実にブルーノートらしい、正統派なガッチリ整った「ジャズの音」に仕上げている。レオ・パーカーのバリサクのテクニックも優秀。バリサクを楽しめる盤としてもこの盤はお勧めである。
 
 
 
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