ラージのブルーノート・デビュー盤
Julian Lage(ジュリアン・ラージ)。数々の有望新人を発掘してきた、ヴァイブのゲイリー・バートンが新たに発掘した天才ギタリスト。僕は、2016年頃から注目し始めたので、レイジのギターに着目してから、かれこれ5年になる。
パット・メセニーの様でもあるが、ジョンスコの様でもある。が、官能的な「くすんだ音色」と「前のめりでアグレッシブなフレーズ」は、ジュリアン・ラージの独特の個性。テクニックはもちろん卓越したもの。
そんなラージも、1987年生まれなので、今年で34歳。若手を通り越して、立場的には、ジャズ界の「中堅」になる。アタッチメントを駆使したくすんだ伸びのあるフレーズ。音の芯がしっかりしていて、紡ぎ出すフレーズに揺るぎは無い。速弾きなどのテクニックに頼らず、ミッドテンポで、それぞれの収録曲の持つ美しい旋律を浮かび出させるように、ゆったりと堅実に弾き進めていく。僕は、このラージのエレギの音が大好きだ。
Julian Lage『Squint』(写真左)。2021年8月のリリース。ちなみにパーソネルは、Julian Lage (g), Jorge Roeder (b), Dave King (ds)。ジュリアン・ラージのブルーノート・デビュー作になる。リーダーのラージのギター1本がフロントの、シンプルでピアノレス、ホーンレスなトリオ編成。ラージのギター一本でフロントを張るとは、全く以て、ポジティヴでアグレッシヴなギタリストである。
トリオ編成とは言え、全編に渡ってトリオ演奏するのでは無く、ギターソロのパートあり、ドラムとのデュオあり、三者一体となったトリオ演奏あり、三者三様のインタープレイあり。全編に渡って、変化に富んでいて、あっと言う間に聴き終えてしまうくらいの充実度。ローダーのベース、キングのドラム、共に素姓は確か、堅実かつエモーショナルなリズム&ビートを供給する。
三者一体となった硬派でストイックなモード演奏あり、どこか郷愁を誘う「古き良き米国ルーツ・ミュージック」を踏まえた耽美的な演奏あり、感情移入が好ましい「静的でスピリチュアルな」演奏あり。ラージのエレギの音は「明るくて骨太でポジティヴ」。エレギの音は、従来のロックの音なんだが、出てくるフレーズは、ジャジーであり、ブルージーでなのだから面白い。
ジャズをはじめ、ロック、ブルース、カントリーなど、米国ルーツ・ミュージックの音要素もふんだんに引用し、音楽ジャンルを越え、融合した音世界はこの盤でも健在。そう、この米国ルーツ音楽の引用が良い雰囲気、醸し出しているだよな〜。
ジャズ・ギタリストについては、ギラッド・ヘクセルマン、カート・ローゼンウィンケルらと併せて、人材豊富な時代になった。喜ばしいことである。
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