何とも微笑ましいエピソード
当時、カラー写真のジャケットは珍しい。しかも、お洒落なスーツを身を纏い、薔薇の花束を持っている。なんだか、趣味の悪いポップスLP盤のジャケットかな、と思うんだが、タイポグラフィーはしっかり決まっている。タイポグラフィーの決まり方から、まさかこれってブルーノートのアルバムなのと思う。
写真の「主」は、ジャズを聴き始めて4〜5年も経てば、すぐに判るはず。そう「スタンリー・タレンタイン(Stanley Turrentine )」である。しかもタイトルが「最愛の人」。は〜ぁ、何だこの盤。とパーソネルを見れば、何となく理由が判ってきた。そう、この盤、当時の新婚ホヤホヤのタレンタイン夫妻に向けての、アルフレッド・ライオンからの「結婚のお祝い」盤なのだな、きっと(笑)。
Stanley Turrentine『Dearly Beloved』。1961年6月8日の録音。ブルーノートの4081番。ちなみにパーソネルは、Stanley Turrentine (ts), Shirley Scott as Little Miss Cott (org), Roy Brooks (ds)。オルガンのシャリー・スコットは、契約上の問題で「リトル・ミス・コット」とクレジットされている。
スタンリー・タレンタインとシャーリー・スコットは1961年に結婚している。1971年に離婚するまで、魅力的な内容の共演盤を多数残しているが、この盤はその最も初期のものだろう。もともと、スタンリー・タレンタインのテナーはオルガンと相性が良いのだが、この盤を聴いて判るのは、当時の細君、シャーリー・スコットのオルガンとの相性が抜群なのだ。息もピッタリ、アドリブ・フレーズの雰囲気も同傾向。はぁ〜、ご馳走様です(笑)。
スタンリー・タレンタインのテナーは、ややもすれば「ファンクネス過多」になりがちなのだが、意外とポップなスコットのオルガンがそれを「中和」している。ストレートなスコットのオルガンの音に、タレンタインが呼応しているようにも感じる。確かにこの盤のタレンタインは意外と「明るい」。ちょっと「ハッピー・スインガー」な要素が見え隠れして、聴き易くなっている。
ちなみに、ジャケットはシャリー・スコットに花を買っている嬉しそうなスタンリー・タレンタインのポートレイトだそうだ。ブルーノート・レーベルって「粋」なことするなあ。当時のスタンリー・タレンタインは、ブルーノートのハウス・ミュージシャンの位置づけ。総帥プロデューサーのライオンからすれば「家族同然」だったのだろう。何とも微笑ましいエピソードではないか。
《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
★ AORの風に吹かれて 【New】 2021.08.11 更新。
・The Brothers Johnson『Light Up the Night』&『Winners』
★ まだまだロックキッズ 【New】 2021.08.11 更新。
★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2021.08.11 更新。
★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
東日本大震災から10年7ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
« ルーさんとピアニストとの相性 | トップページ | オルガン・ジャズの名盤 『Midnight Special』 »
« ルーさんとピアニストとの相性 | トップページ | オルガン・ジャズの名盤 『Midnight Special』 »
コメント