« 無名だが粋なブルックマイヤー盤 | トップページ | 何とも微笑ましいエピソード »

2021年11月 4日 (木曜日)

ルーさんとピアニストとの相性

ジャズマンは演奏で組む相手によって、そのパフォーマンスが変わることがある。相性の問題だとは思うんだが、その人と組むとある種の化学反応が起きて、通常よりも優れたパフォーマンスが展開されたりするのだ。だから、アルバムの初聴き時、聴く前にパーソネルを確認して、以前にその組合せによる優れたパフォーマンスの記憶があると、これは、と期待したりする。

Lou Donaldson『Gravy Train』(写真左)。1961年4月27日の録音。ブルーノートの4079番。ちなみにパーソネルは、Lou Donaldson (as), Herman Foster (p), Ben Tucker (b), Dave Bailey (ds), Alec Dorsey (conga)。ブルーノートのお抱え、ベテランのアルト・サックス奏者ルー・ドナルドソン(愛称:ルーさん)がワン・ホーンのカルテット編成+コンガ。

ピアノ担当のハーマン・フォスター(Herman Foster)は、1928年フィラデルフィア生まれ、1999年に亡くなった盲目のジャズ・ピアニストである。彼の初期のキャリアは、ルーさんと切っても切り離せない。1950年代後半、ルーさんの複数の吹込みに参加し、その名を世に知らしめた。とにかく、ルーさんのアルト・サックスとの相性が抜群のピアニストである。
 

Gravy-train

 
この盤は、1958年12月録音の『Light-Foot』以来の、ルーさんの「ハーマン・フォスター再び」セッション。ハーマン・フォスターのリズム隊との相性は抜群。フォスターのピアノの手癖とルーさんのアルト・サックスの手癖との協調が、ファンクネスを増幅する。アレック・ドーシーのコンガも良いアクセントになっていて、増幅されたファンクネスにポップな雰囲気を付加していて、聴いていて楽しく明るい雰囲気。

ルーさんが気持ち良くアルトを吹き上げる快作である。ピアノをバックにしたルーさんのパフォーマンスとしては、このハーマン・フォスターとホレス・パーランが双璧だろう。それぞれのピアノが持つファンクネスと、アドリブ展開のテンポの波長があるのだろう。どこか旧来のスイング風のファンネスが漂う時はフォスター、どこか新しいモーダルなファンクネスが漂う時はパーラン。

この盤は、ピアノ・トリオをバックとしてのルーさんのアルト・サックス盤の完成形の様な内容。これだけ気分良く、アルト・サックスを吹き上げるルーさんは聴いていて見事。以降、ルーさんのバンド・サウンドの新しい工夫として、前作『Here 'Tis』で試したオルガンの導入に力点を移していく。
 
 
 
《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【New】 2021.08.11 更新。

  ・The Brothers Johnson『Light Up the Night』&『Winners』

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2021.08.11 更新。

  ・『ヘンリー8世と6人の妻』を聴く

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2021.08.11 更新。

  ・伝説の和製プログレ『四人囃子』

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から10年7ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 
 

« 無名だが粋なブルックマイヤー盤 | トップページ | 何とも微笑ましいエピソード »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 無名だが粋なブルックマイヤー盤 | トップページ | 何とも微笑ましいエピソード »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

カテゴリー