最近の日本のフュージョン事情
1970年半ば以降、日本のフュージョン・ジャズは充実してきた。我が国のフュージョン・ジャズは、ファンクネスがかなり希薄で、テクニックはかなり優秀、演奏内容に破綻は無く、アドリブ・フレーズの展開は流麗。米国本場のフュージョン・ジャズに十分対抗できる、グローバル・レベルで見て、遜色の無い、高度で内容のあるフュージョン・ジャズ。
ADAM at『Silent Hill Re-Record』(写真)。日本発のピアノがメインのインスト・バンド「ADAM at」が、2014年に発表した幻のインディーズ作品『Silent Hill』の収録曲5曲をそのままリイシュー。加えて、その『Silent Hill』の収録曲5曲を、2021年ヴァージョンとして新録音した新装盤。
ASIAN KUNG-FU GENERATION / PHONO TONESの伊地知潔や、UKミクスチャー・バンド=SKINDREDのBenji Webbeなどが参加したピアノ・メインのインスト・バンドで、ダイナミック・レンジの広い、音の切れ味の良いフュージョン・ジャズである。ストレートなエレ・ジャズで、変に捻ったり、コマーシャルに走ったりしない、質実剛健なピアノ中心のインストルメンタルがとても潔い。
どの曲もキャッチャーなフレーズが溢れていて、インスト曲として、とても聴き易い。レンジが広くダイナミズムも十分、リズム&ビートをバッチリ決まっていて、演奏テクニックも非常に高くて、どの曲も聴いていて疲れない。ピアノがメインのフュージョン・ジャズや、1970年代のプログレッシヴ・ロックが好きな方々には、全く違和感無く聴き通すことが出来る内容。
ほとんど「スタジオ・ライヴ」の様な、一発勝負のかっとび演奏が良い。グイグイとアップテンポで押しまくるが、強引では無く、切れ味の良い疾走感が実に良い。というか、音の重ね方とか、アドリブ展開の節回しは、ADAM at ならではの「音」があるようで、他のインストバンドの音とは一線を画する。とにかく、聴いていて感じる爽快感は半端ないレベルだ。
日本のフュージョン・ジャズは1970年代から、高いレベルにあると認識しているが、このADAM at のピアノがメインのインスト・フュージョンの演奏レベルは、21世紀の日本のフュージョン・ジャズのレベルの高さを維持している証に他ならない。このADAM at や TRI4TH など、我が国のフュージョン・ジャズの明日は明るいなあ、と感じる今日この頃である。
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