ベネット=ガガのデュオ第2弾
ジャズは「融合の音楽」ではあるが、異なる音楽ジャンルのミュージシャンがタッグを組んで、新しいジャズを創造する、っていう「異種格闘技ライクな人系の融合」は意外と少ない。1970年代のクロスオーバー&フュージョン・ジャズの流行期にも、ロックのミュージシャンとジャズのミュージシャンがタッグを組んで名盤を生み出した、というケースは、にわかに思い浮かばない。
7年前、Tony Bennett & Lady Gaga『Cheek To Cheek』がリリースされた時はビックリした。レディ・ガガといえば、過激で華やかなダンス・ポップの第一人者の1人。トニー・ベネットは、男性ジャズ・ボーカリストのレジェンド。そんな2人がタッグを組んで、ジャズ・ボーカルのデュエット盤を制作したのだ。売らんが為の「キワモノ」か、と思った。
が、これが実に出来が良かった。ガガのボーカルに本格的なジャズ風の側面があること、そして、レジェンド級のボーカリスト、トニー・ベネットが、異種格闘技風の女性ボーカルとのデュエットに完全適応したということ。異なる音楽ジャンルのクリエイティヴなボーカリストがタッグを組んで、予想もしなかった「化学反応」を引き起こしたのだ。
とにかく、この全く予想だにしなかったデュエットにはビックリ。そして、ダンス・ポップなボーカルが出てきたらどうしよう、と思っていたので、ガガの正統派なジャズ・ボーカルにビックリ。ガガのボーカルのポテンシャルに感心することしきり。
Tony Bennett & Lady Gaga『Love For Sale』(写真左)。2021年10月のリリース。前作『チーク・トゥ・チーク』より7年、トニー・ベネットとレディ・ガガが再度タッグを組み、2枚目となる共作ジャズ・アルバムをリリースした。それも、こってこて正統派ジャズ・ボーカルなデュエットである。本作は、コール・ポーターの音楽の世界をベネットとガガがデュエットでクリエイトしている。
ジャズ・ボーカルの曲として、手垢の付いた大スタンダード曲であるコール・ポーターの楽曲をチョイスするとは大胆な、と思ったのだが、聴いてみると、見事なデュエット歌唱で、コール・ポーターの楽曲を唄い上げていく。特にガガの歌唱は素晴らしい。前作よりも、余裕と深みのある唄いっぷりが実に「粋」である。
ベネットって何歳になったんや、と思って確認したら、1926年生まれなので、今年でなんと「95歳」。ガガはと言えば「35歳」。歳の差60歳。しかし、この歳の差60歳のデュエットは端正で正統派、躍動感と歌心に満ちている。どの曲がどう、というレベルでは無い。収録されたどの曲も小粋で素晴らしいデュエットである。
このデュエット盤を聴くと、音楽って年齢じゃないな、と改めて思う。歳の差60歳。音楽の才能とセンスの邂逅。ベネットもガガも音楽家として立派である。
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