僕なりのジャズ超名盤研究・6
僕なりのジャズ超名盤研究の6回目。超名盤の類は、僕の場合、基本的にジャズを聴き初めて4〜5年以内に聴いている。ジャズ盤紹介本に絶対にその名が出る、いわゆる「エヴァーグリーン」な盤ばかり。演奏内容、演奏メンバー、そして、ジャケット、どれもが「ジャズ」を強烈に感じさせてくれる優れた盤ばかりである。
Miles Davis『'Round About Midnight』(写真左)。1955年10月26日、1956年9月10日の2セッションの記録。ちなみにパーソネルは、Miles Davis (tp), John Coltrane (ts), Red Garland (p), Paul Chambers (b), Philly Joe Jones (ds)。マイルス・デイヴィス、1950年代「黄金のクインテット」である。
マイルス・デイヴィスは、ジャズを本格的に聴き始めるまでに、既に大のお気に入り。特に、この盤はジャズを本格的に聴き始めて、2ヶ月目くらいに手に入れた。まず、ジャケットが格好良い。スタイリストなマイルスの面目躍如。いまにも、冒頭の名曲「'Round About Midnight」のイントロ、マイルスのクールでアーバンなミュート・トランペットが聴こえてきそうなジャケット。
内容的には、1955年というハードバップの初期から中期に差し掛かる時期に、既に完成された、当時の最先端を行くハードバップな演奏がギッシリ詰まっている。クールで限りなくシンプルなハードバップ。それでいて、演奏内容はかなり高度なテクニックと小粋なアドリブが満載。聴き易くクールでダンディズム溢れる、マイルス・ミュージックがこの盤に展開されている。
マイルスのトランペットは申し分無い。というか、当時のベスト・プレイだろう。マイルスのトランペットはクール、そして色気タップリである。「マイルスは下手だ」なんていう評論家がいたが、とんでもない。即興を旨とするジャズにおけるトランペットとしては「ハイ・テクニシャン」の部類だ。
そもそもクラシックのトランペットと比べること自体がナンセンス。そもそも吹き方、表現方法が全く異なる。ジャズに限定すると、マイルスのトランペットは優秀だ。特にミュート・トランペットは絶品。その絶品もミュート・トランペットが、冒頭の1曲目、タイトル曲の「'Round About Midnight」で堪能出来る。
この時期のコルトレーンは「下手くそ」なんて言われていたが、とんでもない。荒削りではあるが、音の存在感、ストレートな吹き味、オリジナリティー溢れるアドリブ展開は、既に他のサックス奏者と比べて突出している。そして、ガーランド+チェンバース+フィリージョーのリズム隊の安定度の高さと伴奏上手なテクニックは特筆もの。マイルスのトランペットを更に引き立たせる「マスト・アイテム」。
収録された全ての演奏が「超優秀」。この『'Round About Midnight』という盤は、マイルスが「超一流」なトランペッターとして、ジャズのイノベーターとしての第一歩を記した、歴史に永遠に残る超名盤だろう。いわゆるハードバップ・ジャズの「基準」であり「試金石」的なアルバム。聴く度に「脱帽」である。
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