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2021年10月 3日 (日曜日)

将来のピアノ・トリオ名盤候補

これは最近の「ジャケ買い」の一枚。年齢の入った大ベテラン・ジャズマンの風情。それも「まだまだ現役」風に気合いの入った目。タイポグラフィーがシンプル過ぎてイマイチだが、実にインパクトのあるジャケット写真。しかし、これ誰だったけ。ジャケットの表面にはリーダー名が無い。でも、どっかで見た顔なんだよな〜。

Albert "Tootie" Heath Trio『Philadelphia Beat』(写真)。2014年10月5&7日、フィラデルフィアの「Turtle Studio」での録音。ちなみにパーソネルは、Albert "Tootie" Heath(ds), Ethan Iverson(p), Ben Street(b)。ベテラン・レジェンド級のドラマー、アルバート・ヒースがリーダーのピアノ・トリオ盤。ヒースは1935年生まれなので、この盤、79歳でのリーダー作になる。ジャケ写の主はこの「アルバート・ヒース」でした。

冒頭のスタンダード曲「Bag’s Groove」の曲名を見て、いやはや、懐メロ・ハードバップな演奏集か、と思いきや、静かなパーカッションのソロから入って、テーマ部の主旋律をベースに弾かせて、やっとピアノが出てくるという、一癖も二癖もあるアレンジに、この盤は只者では無い雰囲気が色濃く漂う。さすが、ドラマーがリーダーの盤だけあって、随所にドラミングの妙が聴き応え十分。
 

Philadelphia-beat-1

 
で、これまた、音を選び、間を活かした流麗なセロニアス・モンクの様な癖のあるピアノは誰あろう、イーサン・アイバーソンは、バッド・プラスの中心人物。このアイバーソンのピアノが実にユニーク。今までに無い個性のピアノで、どの曲でも、彼のピアノは、聴いていて実にユニーク。いや〜、このピアノ、癖になるなあ。

3曲目の有名ディスコ曲「I Will Survive(恋のサバイバル)」のカヴァーでのアイバーソンのピアノを聴けば、そのユニークさが良く判る。そんなユニークなピアノに、ほど良く絡んで、間を埋めるベン・ストリートのベースも見事。当然、リーダーのレジェンド、ヒースのドラミングは変幻自在、硬軟自在、緩急自在にアイバーソンのピアノを支え、時に、技を繰り出して前面に踊り出る。

結構、有名スタンダード曲を選んでいるのだが、曲毎のアレンジがユニークなのと、アイバーソンのピアノがユニークなのとで、「手垢の付いた」感や「またか」感が全く無い。どころか、あまりのユニークさに、気が付けばスピーカーに対峙して、じっくり聴き入っている自分がいる。ポップ感や懐メロ感も全く無く、内容的には実に新しいネオ・ハードバップな盤である。これって、将来、ピアノ・トリオの名盤扱いになるんじゃなかろうか、と思ってます。
 
 
 
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