ジャズ喫茶で流したい・221
1970年代に、メインストリームな純ジャズのアルバムをリリースした人気の「パブロ・レーベル」。ベテラン・ジャズマンを中心に起用していたので、口の悪いジャズ者の方々からは「昔の名前で出ています的な、懐メロ・ジャズ」と揶揄されていたが、どうもそれは「偏った」評価だったようである。
Count Basie & Big Joe Turner『The Bosses』(写真左)。1973年の作品。ちなみにパーソネルは、Big Joe Turner (vo), Count Basie (p, org), Ray Brown (b), Louie Bellson (ds), Irving Ashby (g), Eddie "Lockjaw" Davis, Zoot Sims (ts), J.J. Johnson (tb), Harry "Sweets" Edison (tp)。
フロントが4管にギター入り、老舗ビッグバンドの総帥、カウント・ベイシーのリズム・セクションのセプテット編成。この渋くて豪華なセプテットをバックに、米国カンサスシティ出身のブルース・シンガー、ビッグ・ジョー・ターナー(写真右)が、とことんブルージーな歌唱を披露する。カウント・ベイシーとビッグ・ジョー・ターナーがカンサスシティ出身繋がりでのこのセッションだと思うが、この組合せ、パブロ・レーベルならでは、である。
ビッグ・ジョー・ターナーは1911年生まれだから、この盤の録音時は62歳、カウント・ベイシーは1904年生まれなので、この盤の録音時は69歳。両者とも豊富な実績を誇るレジェンド級の大ベテラン。この盤でも、余裕と個性が溢れんばかりのセッションを繰り広げている。ブルースとジャズのコラボは「ありそうで余り無い」。ブルース好きのジャズ者には堪らない雰囲気であり、音世界である。
ビッグ・ジョー・ターナーのパワフルなシャウトスタイルは「ボス・オブ・ブルース」とと呼ばれるだけあって、堂々とした、風格あるブルースを聴かせてくれる。カウント・ベイシーのピアノはシンプル。シンプルだが間の取り方とフレーズの流し方が絶妙で、聴いていて「なんて伴奏上手なピアノなんだ」と感心してしまう。フロント4管はハードバップ期からのベテラン名手ばかりで、良い感じのユニゾン&ハーモニーを聴かせてくれる。
ブルースとジャズのコラボなので、そのアーバンなブルース感とジャジーなスイング感は半端無い。リズム・セクションが「ジャズ」で、ボーカルが「ブルース」なので、ブルース感覚が限りなく濃厚なメインストリーム・ジャズという趣きがとても良い。聴いていて、ブルース好きにとって、とても楽しい雰囲気が満ちてくる。ほとんど紹介されることの無い盤であるが、この盤、ブルースとジャズの「融合盤」として、十分に評価出来る内容である。
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