« シルヴァー5の代表的名ライヴ盤 | トップページ | Jeff Lorber Fusionの好新盤 »

2021年10月30日 (土曜日)

ウエストンの好盤に出会った。

ランディ・ウエストン(Randy Weston)は、ニューヨーク出身のピアニスト。1926年生まれ、2018年9月、92歳で鬼籍に入っている。デューク・エリントンやセロニアス・モンクの影響を色濃く感じるタッチの強さと不思議なフレーズの飛び方。そして、作曲の才にもつながる美しいメロディーラインが個性のピアノストだった。

1940年代後半から活動しているので芸歴は70年近くあり、リーダー作だけでも50枚近くがリリースされている。1950年代後半のリヴァーサイドの諸作がよくジャズ盤紹介本に挙がるが、意外と内容はシビアだ。我が国で人気が無いのが良く判る。ウエストンのピアノを感じるのには、1980年代以降のリーダー作を聴いた方が良い。

Randy Weston『Saga』(写真左)。1995年4月14-17日の録音。ちなみにパーソネルは、Randy Weston (p), Alex Blake (b), Billy Higgins (ds), Neil Clarke (perc), Talib Kibwe (fl,as), Benny Powell (tb), Billy Harper (ts)。ランディ・ウエストンのピアノ率いるピアノ・トリオのリズム隊にパーカッションが加わり、フロントが3管のセプテット編成。
 

Saga-randy-weston

 
ランディ・ウエストンのリーダー作。本盤は収録曲は全曲ランディのオリジナル。どの曲もメロディが印象的で流麗で聴き易い。これがこの盤の「ミソ」で、ウエストンのピアノの個性が良く判る。エリントンのピアノの如く「パーッカッシヴ」。モンクの如く幾何学模様の様な「フレーズの音の飛び」。これが、ウエストンの曲の流麗なフレーズに適合されると、強いタッチと癖のあるフレーズが、抵抗なくスッと耳に入ってくる。

そして、そんな正統なストライド・ピアノに乗って、ビリー・ハーパーのテナー・サックスがのびのびの心地良いテンポで、アドリブ・フレーズを紡ぎ上げていく。時にアブストラクトに、時にスピリチュアルに展開するが、基本はモーダルで流麗なフレーズ。音の余裕に、ハーパーのサキソフォニストとしての成熟を感じる。

ランディ・ウェストンは、ジャズ・ピアニストとして実力者であり、実績も十分なのに、これといった「記憶に残る」決定盤が無かったのが残念に思う。しかし、こういう好盤を耳にすると、やっぱり良いピアニストだったなあ、と思うのだ。不思議と1980年代以降のリーダー作が良いことに最近気が付いた。なかなか入手し難いウエストンのリーダー盤だが、順に聴き進めて行こうと思った。
 
 
 
《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【New】 2021.08.11 更新。

  ・The Brothers Johnson『Light Up the Night』&『Winners』

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2021.08.11 更新。

  ・『ヘンリー8世と6人の妻』を聴く

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2021.08.11 更新。

  ・伝説の和製プログレ『四人囃子』

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から10年7ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

« シルヴァー5の代表的名ライヴ盤 | トップページ | Jeff Lorber Fusionの好新盤 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« シルヴァー5の代表的名ライヴ盤 | トップページ | Jeff Lorber Fusionの好新盤 »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

カテゴリー