ケイブルスの最新トリオ盤です
ジョージ・ケイブルス(George Cables)は、Art Pepper And George Cables 『Goin' Home』で、初めて知った。1982年のリリースなので、リアルタイムで体験している。ファンキーで多弁で切れ味の良いケイブルスのピアノは、しっかりと印象に残った。以来、ケイブルスのピアノは「お気に入り」である。
George Cables『Too Close for Comfort』(写真左)。2020年9月9日、NYの「Sear Sound」の録音。ちなみにパーソネルは、George Cables (p), Essiet Essiet (b), Victor Lewis (ds)。NYブルックリン出身の大ベテラン・ジャズ・ピアニスト、ジョージ・ケイブルスが、長年活動を共にしているエシェット・エシェット、ビクター・ルイスと組んだピアノ・トリオ作。
ケイブルスのピアノはファンキーで多弁。シーツ・オブ・サウンドの様な多弁さでは無い、アドリブ・フレーズが高速でよ唄う、そんな多弁さである。そんな多弁なフレーズに、ドップリとファンクネスを漂わせて、バリバリ弾きまくる。ケイブルスのピアノは、デビュー当時から現在まで、ずっとブレる事無く、一貫している。弾きっぷりは切れ味良く、多弁なフレーズを弾ききった後の爽快感は抜群。
収録曲を見渡すと、全10曲中、ケイブルスのオリジナル曲が4曲、ジャズマンズ・チューン、スタンダード曲のほか、NYで活躍中の日本人ピアニスト、海野雅威の作品も収録されている。ケイブルスは自作曲であれ、スタンダーズ曲であれ、一貫して「多弁でファンキーで切れ味の良い」ピアノで弾きまくる。そう、ケイブルスのピアノは「弾きまくる」のだ。これが意外に耳につかない。優れたテクニックとポジティヴな歌心が成せる技である。
ケイブルスのピアノの弾きっぷりは、この盤の録音時76歳なのだが、円熟の極みというよりは、どこか年齢に似合わず「若く明るい」弾きっぷりなのだ。ただ、じっくり聴いていると、多弁な弾きっぷりではあるが、節回しやチェンジ・オブ・ペースに、どっしりとした「余裕」を感じる。これが、ケイブルスのピアノの良いところ。この「余裕」が、小粋な「タメ」に通じて、多弁なフレーズが「明るくジャジー」に響く。聴き心地がとても良い。
長年活動を共にしてきたエシェットのベース、ルイスのドラムも好調で、ガッチリとケイブルスのピアノをサポートし、引き立たせているのは立派。変に捻ったり、変に革新的に走らない、大ベテランならではの、シンプルで躍動感のあるピアノは安定感と安心感が抜群。最近リリースされたピアノ・トリオ盤の中でも、かなり優秀な内容の「隠れ好盤」です。
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