マクリーンの隠れ名盤の一枚
一流ジャズマンを俯瞰して見ると、その演奏スタイルが生涯、基本的に変わらないジャズマンと、時代毎のジャズの演奏スタイルのトレンドに合わせて、変化していくジャズマンと、ふた通りある。例えば、テナー・タイタン、ソニー・ロリンズは、その演奏スタイルはデビュー当時から基本的に変わらない。しかし、コルトレーンなどは、ハードバップからモード、フリー、スピリチュアルと変化していった。
どちらが良いか、という様な優劣を語っているのでは無い。それぞれ、一流ジャズマン、いわゆるプロ中のプロのジャズ演奏家については、各々の信念の下に、演奏スタイルを維持したり、変化させたりする。その演奏スタイルに対する拘りは、我々、聴き手であるアマチュアがその良し悪しを議論するものでは無いだろう。出てくる音を楽しむか否か、それだけである。
Jackie McLean『Bluesnik』(写真左)。1961年1月8日の録音。ブルーノートの4067番。ちなみにパーソネルは、Jackie McLean (as), Freddie Hubbard (tp), Kenny Drew (p), Doug Watkins (b), Pete La Roca (ds)。リーダーのマクリーンのアルト・サックスと若きハバードのトランペットの2管フロントのクインテット編成である。
ジャキー・マクリーンは、時代毎のジャズの演奏スタイルのトレンドに合わせて、変化していくジャズマンであった。ハードバップ期初期にデビューして、ちょっとピッチの外れたユニークな音色と卓越したテクニック&歌心で、第一線のアルト・サックス奏者として活躍した。この盤では、まだハードバップには留まっているが、モード・ジャズ直前の成熟したコード・ベースのハードバップ演奏を聴くことが出来る。
コルトレーンを意識してなのか、シーツ・オブ・サウンドにも似た高速アドリブ・フレーズ。しかし、まだモードやフリーには傾倒しない。1961年の録音なので、コマーシャルなファンキー・ジャズやソウルフルなジャズに変化しても良さそうなものだが、マクリーンはあくまで、メインストリームな純ジャズを突き進む。そう、マクリーンは硬派なジャズマンだった。決して、ジャズにコマーシャルを求めない。
この盤、結構、内容の濃い演奏が詰まっていて、ハードバップの成熟した高度な演奏を聴くことが出来る。我が国ではあまり名前が挙がる盤では無いのだが、マクリーンの名盤群の1枚であり、ハードバップの傑作の一枚として評価して良い。この後、マクリーンは、モード・ジャズ、そして、フリー・ジャズに接近していく。これがまた「聴きもの」なのだ。
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