ブラジリアンなメロウ・ジャズ
涼しくなった。今年の夏は「酷暑」と「日照不足」の2つが交互にやって来て、日照不足が解消されたと思ったら、外の風は既に「秋の風」になっていた。とにかく朝夕は涼しくなった。我がヴァーチャル音楽喫茶『松和』では、ボサノバ・ジャズ、ジャズ・サンバ、ネイティヴなボサノバ&サンバのアルバムは、決まって、この「秋風吹き始める頃」に聴くことにしている。
Moacir Santos『Maestro(マエストロ)』(写真左)。1972年9月29日、10月10、 18日の録音。ブルーノート・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Moacir Santos (bs, vo, perc, arr), Oscar Brashear (tp), Frank Rosolino (tb), David Duke (french horn), Ray Pizzi (as, ss), Don Menza (ts, fl), Hymie Lewak (p), Clare Fischer (org), Bill Henderson (el-p), Joe Pass (g), John Heard (b), Sheila Wilkinson (vo), Harvey Mason (ds), Carmelo Garcia (perc)。
Moacir Santos(モアシル・サントス)は、1926年、ブラジル生まれ。生粋のボサノバ&サンバ系のミュージシャンであり、マルチインストゥルメンタリストであり、作曲家&アレンジャーとして才覚を現した。この盤は、サントスが1967年、米国カリフォルニアに移住した後、ブルーノート・レーベルでの初リーダー作になる。米国西海岸ジャズの名手達を参画させた、クロスオーバーな雰囲気漂うボサノバ&サンバ・ジャズ。
適度に肩の力が抜けたような、それでいて、しっかり一本筋が通っている。なかなか硬派な、それでいて、ゆったりとしたボサノバ&サンバなリズム&ビート、そして、旋律に耳を奪われる。良い意味で適度に「脱力」し、良い意味で「フュージョン・ジャズっぽい」ソフト&メロウな響きが芳しい。とにかくアルバム全体を覆うブラジリアンなグルーヴ感が半端ない。ブラジル系のジャズであるが、どこかファンクネスも漂って来るところがあって、この盤、コンテンポラリーなボサノバ&サンバ・ジャズの好盤として評価することが出来る。
冒頭1曲目、サントス作の名曲「Nana」のセルフカバーが秀逸で、どこかファンクネス溢れるアレンジはユニーク。続く2曲目「Bluishmen」は、ホーン・アンサンブルが見事。コンテンポラリーなブラジリアン・ジャズ・グルーヴが展開。3曲目の「Luanne」は、ストイックではあるが、心地良いグルーヴが魅力の、ソフト&メロウなボサノバ・ジャズ。等々、全編、ブラジリアンかつコンテンポラリーな、後の「フュージョン・ジャズ」ライクな音世界がてんこ盛りである。
こうやって順に聴き進めると、この盤、ソフト&メロウなブラジリアン・ジャズが主流なのに気がつく。後のフュージョン・ジャズの先駆けの様な響きと音を宿した、この『Maestro(マエストロ)』、意外と「隠れ優秀盤」なのではと思うのだ。しばらく入手し難く、後生買うするのが憚られたが、最近、音楽のサブスク・サイトでも聴ける様になった由、ブラジリアン・ミュージック好きには是非お勧めの「隠れ優秀盤」である。
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