スタンリー・タレンタインの本質
スタンリー・タレンタイン(Stanley Turrentine)は、漆黒ファンキーなソウルフル・テナー奏者。「漆黒ファンキーでソウルフル」なテナーと言えば、オールド・スタイルのヴィブラートの効いたテナーを想起するのだが、タレンタインのテナーはストレート。コルトレーンと同じカテゴリーの、当時として新しいジャズ・テナーのカテゴリーなのだが、何故か、我が国では人気が低い。
タレンタインのテナーは「漆黒ファンキーでソウルフル」なテナー。スタジオ録音のテナーについては、歌心満点の判り易い、情緒溢れるテナーを吹く。ちょっとポップでコマーシャルな響きがするので「ストレート・アヘッドでない」と評価されたのか、タレンタインのテナーは俗っぽくて濃い、などと揶揄されることもあった。
Stanley Turrentine『Up at "Minton's", Vol. 1&2』(写真)。 ブルーノートの4049&4070番。1961年2月23日、NYの「Minton's Playhouse」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Stanley Turrentine (ts), Grant Green (g), Horace Parlan (p), George Tucker (b), Al Harewood (ds)。タレンタインのテナー1ホーンがフロント。バックのリズム隊は、ギター入りのピアノ・トリオ。
このライヴ盤を聴けば、スタンリー・タレンタインのテナーの印象がガラリと変わる。どこまでもストレート・アヘッドな吹きっぷり。ストレートで力感溢れる骨太な音色。コードにもモードにも楽々適応する優れたテクニック。そんなアーティスティックでストレート・アヘッドなテナーに、もともとの個性である「漆黒ファンキーでソウルフル」な味わいが加味される、それはそれは聴き応えのある、ダンディズム溢れるテナー・サックスである。
加えて、バックのギター入りのピアノ・トリオが凄く良い。間を活かしたシングル・トーンがファンキーなパーランのピアノ。硬派でパッキパキ・ファンキーなグリーンのギター。モーダルで新しい響きを宿したタッカーのベース&ヘアウッドのドラム。ストレート・アヘッドなリズム&ビートの中に、強烈に漂うファンクネス。タレンタインの個性である「漆黒ファンキーでソウルフル」をしっかりと支える。
この「ミントンズのタレンタイン」を聴けば、タレンタインのテナーの印象はガラリと変わる。タレンタインのテナーの本質は「ストレート・アヘッドでダンディー」。そこに「漆黒ファンキーでソウルフル」な個性が加味される。タレンタインの本質を記録したライヴ盤。ブルーノートの総帥プロデューサー、アルフレッド・ライオンの慧眼、恐るべし、である。
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