サドの最終リーダー作である。
Thad Jones(サド・ジョーンズ)のトランペット&コルネットはかなりの腕前である。サドのキャリアの途中、サド・ジョーンズ=メル・ルイス・オーケストラ(サド=メル・オケ)の活躍が目覚ましかったこともあって、サドのトランペッターとしてのキャリアにスポットライトが当たることがあまり無かったようだ。
もともと、サド・ジョーンズはカウント・ベイシー楽団で人気No.1のトランペッターとして1953年から活躍、1950年代後半には、ブルーノートに優れたリーダー作を残していて、トランペッターとしての力量は優れたものがあった。
サド=メル・オケにおける在籍期間が1965年から1978年だったので、その間、サド=メル・オケの共同リーダーとしての活動中は、トランペッターとしてのリーダー作が無かったので、仕方の無いところかもしれない。
Thad Jones『Three And One』(写真左)。1984年10月4日の録音。スティープルチェイス・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Thad Jones (cor), Ole Kock Hansen (p), Jesper Lundgaard (b), Ed Thigpen (ds)。リーダーのサド・ジョーンズのコルネットがフロント一管の「ワン・ホーン・カルテット」な編成である。
サドはサドメルのオーケストラを抜けた後、デンマークを拠点として活動しており、この盤は、デンマークの首都コペンハーゲンを拠点とするステープルチェイス・レーベルでの録音になる。
溌剌と躍動感溢れるブリリアントなサドのコルネット。しっかり芯が入った、力感溢れる吹きっぷりだが、メロディアスで柔らかな音色には、思わず「聴き惚れる」。ピッチがしっかりと合っていて、繰り出すフレーズはどれもが美しい。
ピアノのハンセンとベースのルンドガードは、デンマーク出身の地元ジャズマンであるが、なかなか健闘している。ドラム担当は、1974年からコペンハーゲンに移住している、燻し銀ドラマー、エド・シグペン。このシグペンの小粋なドラミングがカルテットの演奏全体をしっかり引き締めている。
タイトル曲の「Three And One」は、ジョーンズ兄弟が揃って初めて吹き込んだアルバム『Keepin' Up With The Jones』に初収録された、サド作の佳曲。
ハンク、サド、エルヴィンの3人兄弟(Three)に、ベーシストのエディ・ジョーンズ、つまり別のジョーンズ(One)という、ジョーンズ3兄弟に捧げた、ジャズ・スタンダードとなったサドの代表曲のひとつで、この盤においては、力感溢れる聴き応えのある演奏になっていて、実に良い味を出している。
サドが亡くなったのは1986年。この盤が吹き込まれたのは1984年の10月。サドが亡くなる2年前、リーダー作としてはラスト・レコーディングとなってしまった。しかしながら、この盤ではリーダー作としてのラスト・レコーディングとは思えない、溌剌としたサドのコルネットが聴けるのが嬉しい。スティープルチェイス・レーベル、本当に良い盤を残してくれた。
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