イブラヒムのピアノの近況。
僕の大好きなピアニストの1人。フォーキーでワールド・ミュージック的な響きを持つ、アーシーでゴスペルチックなジャズ・ピアノを全面的に押し出して、そのまんまのジャズ・ピアノをずっとイチ押しで弾き続けているピアニストが「Abdullah Ibrahim(アブドゥーラ・イブラヒム)」。
1934年10月、南アフリカ連邦のケープタウン生まれ。1965年に米国に渡り、1968年にはイスラム教に改宗。モンクやエリントンの影響を受けつつ、独特な音世界を確立。絵に描いた様な、フォーキーでワールドミュージック的な響きを持つ、アーシーでゴスペルチックなジャズ・ピアノは聴いていて、ジャズの音の原風景を彷彿とさせてくれる。
Abdullah Ibrahim『Dream Time』(写真左)。2019年3月17日、ドイツのゼルフーベン「Hirzheim Concert Hall」でのライヴ録音。ENJAレコードからのリリース。本盤の録音時、85歳の大ベテラン、アブドゥーラ・イブラヒムのソロ・ピアノ。ソロ・ピアノなので、イブラヒムのピアノの近況が良く判る内容となっている。
長短含め全20曲。最初の6曲くらいは、耽美的でリリカルでクールなピアノ・ソロが続いて、ちょっと「あれっ」と思う。しかし、7曲目の「Capetown District Six」から、徐々に「アーシーでゴスペルチックなジャズ・ピアノ」が前面で出てくる。以前は重心が低く、アーシーな度合いが高かったが、この盤では、シュッとクールにスマートになって、「クールでアーシー、クールでゴスペルチック」な雰囲気が新しく感じる。
ブルースあり、エリントン・トリビュートあり、ボレロあり、バラードあり、とても多彩なソロ・ピアノ。イブラヒムのピアニストとしての力量と経験の豊富さがビンビンに伝わってくる。様々な雰囲気の曲と多彩な弾きっぷりで、長短含め全20曲、緩むことは全く無いし、飽きることは全く無い。非常に充実したピアノ・ソロである。これが、録音当時、85歳のパフォーマンスというのだから「恐れ入る」。
録音当時は85歳、今年で87歳。もはや「レジェンド」である。しかし、このソロ・ピアノを聴くと、とてもそんな高齢のパフォーマンスとは思えない。特に、前半6曲の新境地っぽい「耽美的でリリカルなピアノ」は、音に張りがあって、指捌きは的確。まだまだ第一線で活躍出来るな、と頼もしく思った。イブラヒムのピアノ、まだまだ衰えることは無い。
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