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2021年8月17日 (火曜日)

僕なりのジャズ超名盤研究・3 『Surf Ride』

「僕なりの超名盤研究」の第3回目。僕はジャズを聴き始めた頃から、アルト・サックスと言えば「アート・ペッパー(Art pepper)」がお気に入り。1925年、米国カリフォルニア出身、破滅型のジャズ・レジェンド。麻薬禍との葛藤の中、刑務所に出たり入ったり。そんな劇的な人生の中で、多くのジャズ名盤を残しつつ、1982年6月、56歳で鬼籍に入っている。

ペッパーのアルト・サックスは「力強くて流麗」。力感溢れる、しっかりとした吹きっぷりだが、出てくるアドリブ・フレーズは「流麗」。アルト・サックスがフルフルで良く鳴っている。ペッパーのアルト・サックスによる「力強くて流麗」なアドリブ・フレーズは、何時聴いても「惚れ惚れ」する。

1960年代後半、薬物中毒者のためのリハビリテーション施設シナノンに収監されるが、その前後で、ペッパーの演奏スタイルは180度変わるとされるが、僕はそうとは思わない。

シナノン収監前は、典型的な米国西海岸ジャズ、西海岸のハードバップなスタイル。シナノン収監後は、コルトレーンのフォロワーとして、フリーキー&スピリチュアルな吹奏が加わるが、どちらの演奏スタイルも根っ子は「力強くて流麗」なアルト・サックス。シナノン収監後は、演奏スタイルの幅が広がったと解釈すべきだろう。
 

Surf_ride

 
そんなペッパーのシナノン収監前の名盤が、Art Pepper『Surf Ride』(写真左)。1952年3月の録音。アート・ペッパーの初リーダー作である。ちなみにパーソネルは、Art Pepper (as), Hampton Hawes (p), Joe Mondragon (b), Larry Bunker (ds)。アート・ペッパーのアルトのワンホーン作である。

アルバムの内容は聴けば判る、典型的な米国西海岸ジャズ。ほど良いアレンジが施された「聴かせるジャズ」である。ペッパーの「力強くて流麗」なアルト・サックスが、この米国西海岸ジャズの特徴である「聴かせるジャズ」に拍車をかける。収録された全ての曲において、ペッパーのアルト・サックスの「力強くて流麗」な吹きっぷり、「力強くて流麗」なアドリブ・フレーズが印象に強く残る。

加えて、このアルバムの演奏を聴くと、米国西海岸ジャズの特徴と個性がとてもよく判る。良くアレンジされた構成。響きが心地良いユニゾン&ハーモニー。演奏の質は中音域を十分に活かして「軽やか」。アドリブ・フレーズは「小粋で洒脱」。ポップで聴き心地の良いアンサンブル。米国西海岸ジャズの好例としてもお勧め。

『Surf Ride』=「波乗り」=黄色ビキニのお嬢さん、的なイラスト・ジャケット。いや〜、飛び切り「アメリカン」である。初めて目にした時には「ドン引き」したなあ。が、このジャケットに臆すること無く、この盤はジャズ者万民の方々に聴いて欲しい超名盤である。
 
 
 
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