コッテコテにスムースなジャズ盤
1970年代後半から1980年代前半にかけて大流行したフュージョン・ジャズ。フュージョン・ジャズの音の大きな特徴である「ソフト&メロウで心地良い響き」をメインに、電気楽器中心のコンテンポラリーなジャズに仕立て上げたのが「スムース・ジャズ」。聴き心地の良いキャッチャーなフレーズとバカテクな演奏力が「命」の「スムース・ジャズ」である。
Dave Koz & Cory Wong『The Golden Hour』(写真左)。2021年6月のリリース。この新盤のキャッチ・コピーが「LA コンテンポラリー・ジャズ界の重鎮サックス奏者=デイヴ・コーズと、注目を集めるギタリストのコリー・ウォンがコラボ」。久々のコッテコテ「スムース・ジャズ」な盤である。
コリー・ウォンがプロデュースを担当していて、バックバンドもコリー・ウォンのバンドをメインにしているので、イメージ的には、コリー・ウォンのバンドにディヴ・コーズが客演したイメージかと思う。プリンスのチーフ・ホーン・アレンジャーであるマイケル・ネルソンによるホーン・アレンジを担当していて、コーズのサックスをしっかりとフューチャーしている。
全編に渡って、ロック・ビートに乗りつつ、ジャジーな雰囲気を醸し出すパフォーマンスが実に「スムース・ジャズ」らしい。このジャジーな雰囲気が「ソフト&メロウで心地良い響き」を演出していて、ロック・ビートで演奏全体の躍動感を醸し出している。出てくるフレーズもキャッチャーで心地良く、とても良く出来たコンテンポラリー・ジャズだな、という印象を持つ。
スムース・ジャズだからといって、ただ単純に「聴き心地の良さ」だけを追求しているのでは無いのが、この盤のニクいところ。アドリブ・フレーズは良く練られており、アレンジもとても良く考えられているなあ、という印象。演奏を聴いていて、印象に残るフレーズ、テクニック、アレンジが散りばめられていて、全編、飽きることが無い。
我が国では「キワモノ」扱いされている「スムース・ジャズ」であるが、どうして、フュージョン・ジャズの発展形として、十分に鑑賞に耐える「演奏のトレンドのひとつ」として、これはこれで「コンテンポラリーなジャズの一形態」であると思う。避けて通るには惜しい、充実した内容であると僕は思う。ジャケットはシンプル過ぎて、ちょっと「オヨヨ」ではあるけれど...(笑)。
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