僕なりのジャズ超名盤研究・1
全3巻の3巻目が刊行されて、小川隆夫さん著の『ジャズ超名盤研究』が完結した。僕はスイング・ジャーナルに掲載されている時代から、小川隆夫さんのジャズ評論や文筆が大好きで、内容の重複が無い限り、ほぼ全部の著作物を所有している。特に、この『ジャズ超名盤研究』は読み応えのあるジャズ盤紹介本で、ジャズ歴45年の僕でも、この本で、いわゆる「超名盤」について、復習させてもらっているくらいである。
ということで、この小川隆夫さん著の『ジャズ超名盤研究』の超名盤を参考にさせていただきつつ、「僕なりのジャズ超名盤研究」をまとめてみようと思い立った。この歳になると、なかなか「超名盤」について聴き直す機会が無いだけに、楽しみながらの聴き直しになっている。
Billie Holiday『Twelve Of Her Greatest Interpretations - Strange Fruit』(写真)。1939年4月20日、1944年3月25日、4月1, 8日の録音。1959年のリリース。邦題『奇妙な果実』。伝説の女性ジャズ・ボーカリスト、ビリー・ホリデイの最高傑作にしてジャズヴォーカル屈指の名盤。僕がビリー・ホリディに関するアルバムの中で一番最初に入手した盤である。
実は、ジャズ者初心者の頃、ビリー・ホリディの歌唱について、全く響くところが無かった。ただ、彼女の唄う曲の中に「Strange Fruit(奇妙な果実)」があって、この曲の内容、この曲の持つ意味から、ジャズの本質の一部を感じ取る事が出来ると思ったからだ。
当時、僕は大学生で歴史を学んでいた。そして、自分の専門分野の中に米国南北戦争史があった。その延長線上に「ジャズ」あって、人種差別問題は僕の中で、ジャズとは切っても切れない関係にあった。
ビリー・ホリディの歌唱はジャズ・ボーカルの王道をいくものである。が、彼女の歌唱の良さが理解出来る様なるまでに10年程度を要した。今回、聴き直してみて、他のレジェンド級の女性ボーカリストと比較すると、癖が無く、意外とシンプルな歌唱なのに改めて気が付いた。感情をコントロールした、シンプルな唄いっぷりには凄みを感じる。情念がこもった歌唱とでも言ったら良いのか、説得力が半端ない。
古い録音なので音は良くない。この録音の悪さに慣れれば、ビリー・ホリディの歌唱の良さが心に響いてくる。ただ、ジャズ者初心者の頃は、この録音の悪さが気になって、この盤の持つ良さに気が付くことが難しい。ジャズ者初心者にして、この録音の悪さが心地良く感じれば問題ないんだけど。
ということで、この盤はジャズを聴き始めて、ジャズを聴くことが楽しくなって、ジャズの歴史なども学んでみたいと思う、ジャズ者中堅以降の方々に、改めて聴き直して貰いたい「超名盤」である。
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