デイヴ・ホランドのエレベが凄い
この新盤を聴いた時、「この人、幾つになったんだっけ」と思った。1946年10月、英国生まれなので今年で75歳になる。75歳と言えば、もはや「ジャズ・レジェンド」である。僕がジャズを聴き始めた1970年代後半には、ECMレーベルをメインに先鋭的なフリー・ジャズやコンテンポラリーな純ジャズを展開していた。なんだか、強面のベーシスト、というイメージが強かった。それは今でもその印象が強い。
Dave Holland『Another Land』。2019年9月10-11日、NYでの録音。つい先月のリリース。ちなみにパーソネルは、Dave Holland (b), Kevin Eubanks (g), Obed Calvaire (ds)。音が分厚い演奏であるが、なんとギター、ベース、ドラムのいわゆる「ギター・トリオ」である。リーダーのデイブ・ホランドは、アコースティック、エレクトリック、両方のベースをガンガンに弾きまくっている。
演奏は、全て非4ビートのいわゆる「コンテンポラリーな純ジャズ」。1970年代後半から1980年代前半の、ECMレーベルお得意の「ニュー・ジャズ」な雰囲気が満載。しっかりと切れ味の良いファンクネスが入っているところから、エレ・マイルスの延長線上にある「エレ・ジャズ・ファンク」な雰囲気も濃厚。ただ音作りはスマートでシンプルなので、ファンクネスが耳にもたれることは無い。
さすが、リーダーのホランドのベースが凄い。アコースティック・ベースは、いつもの、ホランドならではの重力感と鋼性溢れる骨太なものだが、この盤では、とりわけ、エレクトリック・ベースの弾きっぷりが凄い。ソリッドで切れ味の良いエレクトリック・ベースは、その重力感がホランドならではのもの。他のエレベには、この丸く固まった様な鋼性溢れるエレベの重量感は無い。
ケヴィン・ユーバンクスのエレギも「ワン・アンド・オンリー」な弾きっぷりが素敵で、過去のジャズ・エレギ、例えば、マクラフリンやディメオラあたりを引用して良さそうなものだが、ユーバンクスはそれを絶対にやらない。それと、この新盤を聴いて思ったのは、ホランドのベースとの相性の良さ。ギター・トリオというシンプルな編成で、これだけの厚みをある音を出すのだから脱帽である。
ドラムのカルヴェールも、アイデア豊富でアグレッシブなドラミングが魅力的。ホランドのベースとユーバンクスのギターに押されていないところが立派。円熟の非4ビートのエレトリックな「コンテンポラリーな純ジャズ」。何となく1970年代後半から1980年代前半のニュー・ジャズの雰囲気が漂うが、決して音やビートは古くない。その辺りは、このギター・トリオは良く心得たもので、今の「聴く耳」を飽きさせないところはさすがである。
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