ジャズ喫茶で流したい・216
コロナ・ワクチンの2回目の接種後、まずまずの副反応が出た。接種10時間後に発熱、37.8℃。解熱剤を飲むと平熱に下がるも、効力が切れるとまた発熱。これが翌日まで続く。翌朝、頭痛に悩まされる。嫌〜な感じの痛み。頭痛薬を2回連続で飲んで、やっと頭痛は治まった。で、今日は37.0℃程度の微熱はあるが、それ以外は平常に戻った。で、ブログの再開である。
Pharoah Sanders『Welcome to Love』(写真)。サブタイトルが「Pharoah Sanders Plays Beautiful Ballads」。1990年7月、フランスのイエールの「Studio Gimmick」での録音。ちなみにパーソネルは、Pharoah Sanders (ts, ss), William Henderson (p), Stafford James (b), Eccleston W. Wainwright Jr. (ds)。フリー・テナーの雄、ファラオ・サンダースのワン・ホーン・カルテットである。
コロナ・ワクチンの副反応のお陰で、床に入りながらジャズを聴く。床に入りながら聴いたジャズ盤の中で、これは、と感じ入った盤が、ジョン・コルトレーンのDNAを受け継ぐテナー・レジェンド、ファラオ・サンダースのバラード集。ファラオと言えば「フリー・ジャズ」となるが、この盤が録音されたのは1990年。ファラオのテナーは、硬派な純ジャズ、所謂「ネオ・ハードバップ」なテナーに変化している。
テナー・レジェンドのバラード集と言えば、コルトレーンの『Ballads』を想起するが、このファラオのバラード集は、コルトレーンのコピーでは無いし、コルトレーンのバラード演奏のフォロワーでも無い。
伸び伸びして大らか、シュッとした温かみのあるテナーの音、ポジティヴに明朗に展開するアドリブ・パフォーマンス。コルトレーンのバラード集と被っている曲、「You Don't Know What Love Is」と「Say It」を聴き比べれば、ファラオのオリジナリティーが良く判る。
しかし、かつての前衛の奇才が浪々とバラードを吹くのに違和感を覚えて、プロデューサーは誰かな、と確認すると「原哲夫」の名前がある。後のヴィーナス・レコードの総帥プロデューサーである。なるほど、このバラード集の音は、確かに後のヴィーナス・レコードの音に繋がるものある。
かつての前衛の奇才に「バラード」を吹かせる。そして、それは絶対に上質のバラード集になる。この見事なオリジナリティー溢れるバラード演奏は、それを見抜いたプロデュースの賜である。
バックのリズム隊も大健闘している。特にピアノのウィリアム・ヘンダーソンのピアノは一聴に値する。明るくちょっと多弁であるが、印象的なフレーズを連発しながら、ファラオのテナーをソプラノをがっちりサポートする。
このファラオのバラード集、意外とマイナーな存在に甘んじているが、あらゆるジャズ者の皆さんに一度は聴いて頂きたい名盤であると思う。
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