少しポップな漆黒ファンクネス
スタンリー・タレンタイン(Stanley Turrentine)は、漆黒ファンキーなテナー・サックス奏者。夜のアーバンな雰囲気濃厚、こってこてファンキーなテナー・サックスが個性。どっぷりジャジーなテナー・サックスだが、ストレートな吹きっぷりは当時としては「新しい響き」。コルトレーンが絶対的存在の我が国では、このタレンタインですら「古いテナー」として、あまり人気が無かった様に思う。
Stanley Turrentine『Comin' Your Way』(写真左)。1961年1月20日の録音。ブルーノートの4065番。ちなみにパーソネルは、Stanley Turrentine (ts), Tommy Turrentine (tp), Horace Parlan (p), George Tucker (b), Al Harewood (ds)。カタログ番号まで振られたのに、録音当時は「お蔵入り」。リリースされたのは1987年になってからである。
この盤、聴けば聴くほど、どうして録音当時「お蔵入り」になったか、理解に苦しむ。ブルーノートの総帥プロデューサーのアルフレッド・ライオンに直接訊いてみたいくらいだ。内容的には、ほど良くポップで、ほど良く軽快。演奏の雰囲気も幾分か明るく、聴いていて、何だか気持ちが明るくなる様な、ポジティヴな雰囲気のファンキー・ジャズである。
タレンタイン兄弟のフロント2管が好調。弟のスタンリー・タレンタインのテナー・サックスが実に良い音を出している。こってこてファンキーなテナー・サックスだが、意外と軽快な吹き回しで、そのフレーズにはポップな雰囲気がそこはかとなく漂う。兄のトミー・タレンタインのトランペットは溌剌としていてブリリアントな音色が素敵。テクニック的にはそこそこだが、味のあるフレーズを叩き出してくるところは見事。
そして、ホレス・パーランのピアノをメインとしたリズム・セクションが良い。スインギーでメロディアスではあるが、ハードバップ後期のモーダルな雰囲気が漂う、意外と先進的なリズム・セクションで、ややもすればポップに傾く、タレンタイン兄弟のフロント2管をしっかりと硬派でクールなファンキー・ジャズに留めている。
タレンタイン兄弟のフロント2管とこのパーランのリズム隊との相性が抜群で、聴き応え十分である。特に冒頭の「My Girl Is Just Enough Woman for Me」から「Then I'll Be Tired of You」、5曲目の「Someone to Watch Over Me」から「Stolen Sweets」などのジャズ・スタンダード曲がとても良い雰囲気で味わいがある。小粋なジャズとして、小粋なテナー・サックス盤として、お勧めの好盤である。
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