「ビ・バップ」なディズを聴く
ビ・バップの祖の一人、ジャズ・トランペッターのレジェンド「ディジー・ガレスピー(Dizzy Gillespie・愛称「ディズ」)」。マイルスを以てして「ディズの様に吹きたかったが、どうしても吹けなかった。ディズは俺のアイドルだった」と言わしめた伝説のトランペッターだが、ビ・バップ期においては、意外とリーダー作に恵まれていない。
ハードバップ期以降については、要所要所で名盤を「ものにしている」のだが、ビ・バップ期には意外とデイズの代表盤というのがあまり見当たらない。
もう1人の「ビ・バップの祖」チャーリー・パーカーは失敗テイクを含め、各々のセッションの全てをアルバムにされたりしているが、ディズにはそれが無い。ディズのビ・バップなトランペットは、それはそれは素晴らしいものにも関わらず、である。
ビ・バップなディズを感じたいのなら、サヴォイ・レーベルの諸作だろう。お勧めは『Groovin' High』と『The Champ』の2枚。今日は後者をご紹介したい。
Dizzy Gillespie『The Champ』(写真左)。ディジー・ガレスピーの1951年から1952年までの小グループでのレコーディングを集めた、サヴォイ初期のオムニバス形式のアルバムである。
主だったパーソネルは次の通り。Dizzy Gillespie (tp), Bill Graham (as), Budd Johnson, John Coltrane (ts), Bill Graham (bs), Bernie Griggs, Percy Heath (b), Al Jones, Art Blakey, Kansas Fields (ds), Kenny Burrell (g), Milt Jackson (org), Milt Jackson, Wynton Kelly (p), J.J. Johnson (tb), Milt Jackson (vib), Stuff Smith (vln), Dizzy Gillespie, Melvin Moore, Milt Jackson (vo) 等々。
演奏内容は明らかに「ビ・バップ」。録音年が1951〜52年なので、ビ・バップは最終期で、ハードバップへの移行期にあたるので、ビ・バップとしての演奏内容は、十分に洗練されていて「聴かせる」ビ・バップになっている。
当然、リーダーのディズのトランペットは強烈なハイノート、見事な運指を含め、申し分無い。明るく陽気なディズの「ビ・バップ」なトランペットが心ゆくまで楽しめる。
ビ・バップの「アーティスティックな最終形」を聴く様な充実した演奏ばかりなのだが、これはディズを含め、演奏するジャズマンが皆、後のハードバップ期以降、活躍するジャズマンばかりなのだから当然と言えば当然。若かりし頃のコルトレーンやウィントン・ケリー、ケニー・バレルらの名前が実に頼もしい。
ボーカル入りの曲があったり、思い切りラテン調の曲があったり、明るく陽気なディズのトランペットを含め、我が国の硬派なジャズ者の方々にはウケが悪い盤であるが、ビ・バップの祖としてのディズの才能を感じるのに、最適なアルバムの一枚である。ビ・バップの「アーティスティックな最終形」は素敵です。
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