第2期マハヴィシュヌ・オケの傑作
マクラフリン率いる「マハヴィシュヌ・オーケストラ」。今の耳で聴けば、これはジャズロックの体をした「プログレッシヴ・ロック(略して「プログレ」)」である。マハヴィシュヌ・オーケストラのメンバー自体、ジャズ畑からの参入なので、クロスオーバー・ジャズのジャンルに留め置いたが、どうも最近の「今の耳」で聴き直すと、どうもこれは「プログレ」ではないかと(笑)。
John McLaughlin with Mahavishnu Orchestra『Apocalypse』(写真)。邦題『黙示録』。1974年3月の録音。ちなみにパーソネルは、John McLaughlin (g), Gayle Moran (key, vo), Jean-Luc Ponty (el-vln), Ralphe Armstrong (b, vo), Narada Michael Walden (ds, perc, vo)。
ギターのジョン・マクラフリンを除くメンバーががらりと変わった、マハヴィシュヌ・オーケストラの第2期の作品になる。プロデューサーが「ジョージ・マーティン (George Martin)」。これが大正解だった。エレ・ジャズとプログレとクラシックの「融合音楽」をものの見事にプロデュースしている。
ロンドン・シンフォニー・オーケストラとの共演が興味深い。ジャズのバンドや演奏者がムーディーな雰囲気を増幅するのに、オーケストラとの共演をするのはたまにある。が、ジャズロック、クロスオーバー・ジャズがオーケストラと共演するのは、ロックバンドがオーケストラと共演する様なもので、あまり例が無く、成功例は少ない。
しかし、このマハヴィシュヌ・オーケストラとオーケストラの共演、よく練られていて、ジャズとロックとオーケストラの融合。つまり、クロスオーバー・ジャズの真骨頂とでも言いたくなる、素晴らしい「融合」音楽が成立している。
電気楽器の音がジャジーな分、オーケストラの音と良く馴染む。マクラフリンのクロスオーバーなエレ・ギターと、ジャズロック側のジャン=リュックポンティの電気バイオリンとが、オーケストラの弦との間の「橋渡しの役割」を担って、違和感無く融合していて違和感が無い。オーケストラの音が、静的なスピリチュアル・ジャズに通じる響きを供給していて、マハヴィシュヌ・オーケストラの「プログレ」な音を増幅している。
ゲイル・モランのボーカルも幻想的でスピリチュアル、ドラムはなんと、ジェフ・ベック「WIRED」でのドラマー、マイケル・ウォールデンで、乾いたファンクネスが漂うロックビートなドラミングがユニーク。
音的には、第1期マハヴィシュヌ・オーケストラの様な、切れ味良くテンション溢れ、畳みかけるような展開は影を潜め、代わって、叙情的でシンフォニックな展開がメインになっている。エレ・ジャズとプログレとクラシックの「クロスオーバー・ミュージック」。そんな魅力的な音世界がこのアルバムに詰まっている。
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