ジャズ喫茶で流したい・213
ティナ・ブルックス(Tina Brooks)の少し気怠い感じのファンクネス溢れるテナー・サックスの音は、録音当時はそういう意識は無かったのだろうが、正に「ブルーノート・レーベル」らしい音がする。哀愁とファンクネスが色濃く漂うティナのテナー・サックスは一度「填まる」と病みつきになる。
Tina Brooks『Back to the Tracks』(写真左)。1960年9月1日と10月20日の録音。しかし、録音当時はリリースされず、1998年1月にようやくリリースされた、ブルーノート・レーベルお得意の「何故か判らないお蔵入り音源」。一応、カタログ番号は与えられてて、ブルーノートの4052番になる。ちなみにパーソネルは、Tina Brooks (ts), Jackie McLean (as, track 2 only),Blue Mitchell (tp), Kenny Drew (p), Paul Chambers (b), Art Taylor (ds)。
基本編成は、リーダーのティナ・ブルックスのテナー・サックスとブルー・ミッチェルのトランペットの2管フロントのクインテット編成。2曲目の「Street Singer」のみ、マクリーンのアルト・サックスが入る3管フロント。この2曲目だけが「1960年9月1日」の録音になる。2曲目の「Street Singer」の存在と曲順がちょっと中途半端でセッションの統一感が少し崩れていて、それがこの何故か判らないお蔵入り音源」のお蔵入りの理由かもしれない。
録音当時、お蔵入りになった音源とは言え、まず、リーダーのティナ・ブルックスのテナー・サックスについては申し分無い。哀愁とファンクネスが色濃く漂う「個性」をどの曲でも色濃く出しつつ、ブルージーでジャジーなフレーズを吹き上げている。1960年の録音とは言え、ブルックスのテナー・サックスは明らかに「正統派なハードバップ」。安心して聴くことが出来る。
サイドマンに目を転じると、ブルー・ミッチェルのトランペットが絶好調。ブルックスの哀愁とファンクネスが色濃く漂うテナー・サックスに呼応するように、負けずに哀愁感漂うファンキーなトランペットを吹き上げていく。ドリューのピアノのバッキングについてもブルージーなマイナーな響きが堪らない。メンバー全員、息の合った好演を展開していて、聴いていて気持ちが良い。
この盤、発掘リリースされて良かった。ジャズの歴史に名を残す「名盤」では無いが、いかにもハードバップらしい、いかにもブルーノートらしい、ブルージーでジャジーな演奏の数々は「愛聴盤」の類として、しっかりと聴き込まれている。ジャズ者初心者の方々に是非とも、という盤では無いが、ジャズが好きになって、ブルーノート4000番台が好きになったジャズ者の方々には是非聴いて頂きたい「隠れ優秀盤」である。
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