サヴォイ・レーベルのパーカー盤
サヴォイ・レーベルと言えば、1942年に設立以来、ビ・バップ華やかりし1940年代後半から1950年代前半にかけて、チャーリー・パーカー、ディジー・ガレスピーなどのセッションをどんどん録音していった。が、パーカーについては、アルバムとして今も流通しているものは数少ない。
パーカーのセッションの全てを収録した「パーカー研究者向け」の企画ボックス盤はあるにはあるが、これは明らかに後の「マニア御用達」なもので、CD複数枚の企画ボックス盤は聴き通すのも大変。やはり、当時LPとしてリリースされたものが良い。
『The Charlie Parker Story』(写真)。1945年11月26日の録音。もともとは、パーカーの死後にリリースされたLPレコード。1945年11月26日に録音されたセッション全体を記録した最初のアルバムになる。
ちなみにパーソネルは不確で、恐らくこれが一番正確なのかと。Miles Davis (tp), Charlie Parker (as), Dizzy Gillespie (tp, p), Sadik Hakim (p), Curly Russell (b), Max Roach (ds)。トランペットとピアノについては、どの曲で誰が担当したか、諸説あって良く判らないみたい。
16トラックあるが、収録曲としては実質6曲。この盤はLPとして1956年にリリースされた折から、セッション全体を順番に収録していて、正式なマスター・テイクから、マスター・テイクに比肩する内容のオルタネイト・テイク、途中で終わっちゃうショート・テイク(失敗テイクでしょうね)など、1曲の中で、3〜5パターンの演奏が収録されている。
この盤を通して聴くと、1945年当時の「ビ・バップ」の演奏について、ビ・バップ・ムーヴメントの中心となったジャズマンが集った演奏については、素晴らしく内容のある演奏だったことがよく判る。このサヴォイ盤については「現代のジャズの歴史で作られた最高の録音」と評価されている。
「Billie's Bounce」1曲とってみても、オリジナル・テイクのほか、オリジナル・テイクに比肩する内容のオルタネイト・テイクが3曲収録されており、どの演奏をとってみても充実した内容で、オリジナル・テイクと比べても甲乙付けがたい。こういう場合は、どれが一番優れているかと悩むよりは、いずれも素晴らしい演奏であることを確認して楽しむのが良いだろう。
ただ、今でもその存在が良く判らないのが「Short Take(いわゆる「失敗テイク」)」の存在。収録する必要があったのかなあ。ただ、臨場感は伝わるし、即興演奏を旨とするジャズ演奏は、常に成功テイクばかりでは無い、失敗テイクの積み重ねという側面もあるということを我々に教えてはくれる。けど、演奏を鑑賞するという面では「いらない」と思う。
しかし、「Billie's Bounce」をはじめ「Now's the Time」「Warming up a Riff」「Thriving From a Riff」「Meandering」「Koko」については、マスター・テイクもオルタネイト・テイクも、当時としては、素晴らしい演奏レベルである。
CD複数枚の企画ボックス盤は聴き通すのに疲れます。この盤は録音もまずまずで、ビ・バップのパーカーを感じる第一歩として、最適のアルバムだと思います。LP1枚分の収録時間なので、一気に聴き通すことができます。
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