ルーさんのアルトの本質が判る
ルー・ドナルドソン(Lou Donaldson・愛称「ルーさん」)は、基本的にブルーノート・レーベルのお抱えアルト・サックス奏者。活動期は1950年代〜1970年代に渡るが、主なリーダー作の半数以上が、ブルーノート・レーベルからのリリース。特に、1950年代半ば、ブルーノートの1500番台からリーダー作をリリースする、ブルーノートお抱えジャズマンの「古株」である。
我が国で絶大なる人気を誇るブルーノート・レーベルの「お抱えアルト・サックス奏者」という存在でありながら、ルーさんは我が国のジャズ・シーンの中では、あまり人気は高くない。僕はこの人のアルト・サックスの音、吹きっぷりが大好きで、今でも時々、引っ張り出して来ては聴き直しているんだが、どうも、我が国でも評価は高くない。不思議なことである。
Lou Donaldson『Light-Foot』(写真左)。ブルーノートの4053番。1958年12月14日の録音。ちなみにパーソネルは、Lou Donaldson (as), Herman Foster (p), Peck Morrison (b), Jimmy Wormworth (ds), Ray Barretto (congas)。リーダーのルー・ドナルドソンのアルト・サックスがフロント1管のカルテット編成。ワン・ホーン・カルテットに、バレットのコンガが入っている。
タイトルの「Light-Foot」は「軽い足取り[フットワーク]で進む」の意。ルーさんの旧知の気心知れたメンバーとのアルト・サックスの吹きっぷりは、まさに「Light-Foot」。
フレーズはあくまで明るく、ビ・バップ風の吹き回しは、時に「耳に付く」ほど、ブリリアントで高速な吹き回し。そんなルーさんの「Light-Foot」なアルト・サックスが印象に強く残るアルバムである。
ルーさんは気心知れた旧知のジャズマンをサイドマンに迎えると、もともとのルーさんのアルト・サックスの本質である、とてもハッピーな吹きっぷりで、翳りや哀愁、モーダルで理知的な響きとは全く無縁な「明るくビ・バップ風のブリリアントで高速な吹き回し」が前面に出てくる。しかし、これが実に爽快で、聴いていて気持ちがパッと明るくなる。
明るくブリリアントだが、ファンクネスは十分に備わっていて、ファンキーで明るい「ビ・バップ風」のパフォーマンスは、実にジャジー。そして、この盤にも、ルーさんお気に入りの「コンガ」が入っている。この「コンガ」の存在が、ファンキーでジャジーな演奏にポップな雰囲気を加味していて、アルバム全体を躍動感のあるファンキー・ジャズに仕上げている。
翳りや哀愁、モーダルで理知的な響きとは全く無縁なところ、そして、この「コンガ」の存在が、我が国でのウケの悪さに繋がっているのかなあ。でも、私は、このルーさんのポジティヴなアルト・サックスがお気に入り。とにかく、聴く度に元気が出ます。
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