スリー・サウンズの好盤の一枚
1950年代から1960年代のブルーノート・レーベルの最初の黄金時代、唯一のピアノ・トリオを企画し、ブルーノートの人気ピアノ・トリオに押し上げ、ブルーノートの「ドル箱」となったのが「the 3 sounds(スリー・サウンズ)」。我が国ではこの「企画された」ところが作為的に捉えられたのか、スタンダード曲中心の判り易い演奏が「俗っぽい」捉えられたのか、何故か人気、評価共にあまり高く無い。
the 3 sounds『Moods』(写真左)。1960年6月28日の録音。ブルーノートの4044番。ちなみにパーソネルは、Gene Harris (p), Andrew Simpkins (b), Bill Dowdy (ds)。ブルーノート・レーベルの「お抱え」ピアノ・トリオ、スリー・サウンズのスタンダード集である。ちなみに、艶めかしいジャケットの女性は、ブルーノートの総帥プロデューサー、アルフレッド・ライオンの細君であるルース夫人。
このアルバムだけは、スリー・サウンズのアルバムの中で、我が国のジャズ盤紹介本やジャズ雑誌のピアノ・トリオの特集によく挙がるアルバムである。選曲もスタンダード曲がメイン。とりたてて、スリー・サウンズが他のアルバムと比べて、レベルの高い演奏を繰り広げている訳でも無い。アルバム・ジャケットも女性の横顔だけという平凡なもの。なのに我が国ではスリー・サウンズの代表盤の様に扱われている。
改めて、この盤のスリー・サウンズの演奏は、他のアルバムと比べても、その演奏レベルは同等。判り易くシンプルな展開、それでいて、演奏テクニックは高く、やっていることは意外と難度が高い。ただ、演奏の雰囲気がとても判り易くシンプルなので、カクテル・ピアノっぽいトリオ演奏と誤解されやすい。それでもこの盤は「スリー・サウンズの代表盤」として、もてはやされる。
恐らく、選曲が「どスタンダード曲」が目立つので、例えば「Love for Sale」「On Green Dolphin Street」「Li'l Darlin'」「Things Ain't What They Used to Be」などだが、ジャズ者初心者向けにピッタリだと、昔の評論家の方々が考えたのかも。
でも、ソニー・スティットの「Loose Walk」や、クリフォード・ブラウンの「Sandu」など、渋い内容のミュージシャンズ・チューンが選曲されていたりで、この辺りはジャズ者初心者向けとは思えないんですけどねえ。
この盤、スリー・サウンズの代表盤という位置づけでは無く、他のスリー・サウンズと同様の、判り易くシンプルな展開の「極上のピアノ・トリオ演奏」がギッシリ詰まっています。この盤も「スリー・サウンズの好盤の一枚」という位置づけでしょうか。
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