ジャズ喫茶で流したい・207
ブルーノート・レーベルには、今となっては「ほぼ無名」だが、個性溢れるジャズマンの数少ない録音がある。それも、とても「ブルーノート」らしい音で記録されているのだから、絶対に無視出来ない。こういう内容のある、希少価値のある録音が残っているところが、ブルーノートは「ジャズの老舗レーベル」と一目置かれる所以である。
Sonny Redd『Out of the Blue』(写真)。全8曲中、1-6曲目が1959年12月5日、7-8曲目が1960年1月23日の録音。ブルーノートの4032番。ちなみにパーソネルは、1-6曲目が、Sonny Red (as), Wynton Kelly (p), Sam Jones (b), Roy Brooks (ds)、7-8曲目が、Sonny Red (as), Wynton Kelly (p), Paul Chambers (b), Jimmy Cobb (ds)。CDリイシュー盤は、この8曲に5曲のボートラが追加されている。このボートラ部分の録音は、7-8曲目と同じく1960年1月23日の録音。
ブルーノート・レーベルのアルバム作りには珍しく、複数に録音日がまたがる構成になっている。聴いてみても、あまり明確な理由は見当たらない。CDリイシュー盤の全13曲仕様を全曲聴き通すと、1959年12月5日の録音と1960年1月23日の録音、共にリーダーのソニー・レッドのアルト・サックスと、リズム隊の要、ウィントン・ケリーのピアノが、突出して良いパフォーマンスを展開しているのが印象に残る。
リーダーのソニー・レッドのアルト・サックスの音がとても良い。とても良く鳴っている。ブラスのブリリアントな響きを伴って、とても良い音で気持ちよさそうにアルト・サックスを吹き上げている。テクニックは中庸、速弾きをする訳でも無いし、情感タップリにバラードを吹き上げる訳でも無い。レッドはとても良い音で、ゆったりとしたミッド・テンポで、スタンダード曲を自作曲を印象的なフレーズで吹き上げる。
そして、そのアルト・サックスを支えるのが、ウィントン・ケリーのハッビー・スインガーなピアノ。そこはかとないファンクネスとマイナーな響きを宿しつつ、明るくハッピーでスインギーなピアノで、フロントのレッドのアルトを鼓舞し、サポートする。ベースとドラムのリズム隊はいずれも、安心かつ安定したハードバップなリズム&ビートを供給する。
録音年が1959-60年。ハードバップ全盛期を過ぎて「ハードバップ多様化」の時代。そんな時代に「ハードバップど真ん中」な、とりたてて注目する特徴は無いが、とても良い音でアルト・サックスが鳴る。そして、そんなアルト・サックスに、ブルーノート・レーベルらしい独特のエコーがかかって、それはそれはとてもブルーノートらしい音で鳴り響く。ジャケ・デザインもブルーノートらしくて秀逸。ジャケ良し、演奏良し、録音良し、有名盤では無いけど、一聴に値する3方良しの好盤です。
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