ジャズ喫茶で流したい・206
ジャズは米国だけのものでは無い。欧州においては、1950年代半ばには、独特の響きと雰囲気を持った「北欧ジャズ」が、同時期に英国ジャズも出現していた。あと有名なエリアとしては、フランス、ドイツ、イタリアが挙げられる。イタリア・ジャズについては、第二次世界大戦にて降伏した後、イタリア国内に米国文化が流入、その中にジャズがあった。1950年代には音楽文化の1ジャンルとして定着し、1960年代に最初の絶頂を迎えている。
21世紀に入ってから、ネットでジャズの情報の流通速度が格段に速くなったこともあって、欧州各国で「純ジャズ復古」の動きが拡散し、特にイタリアではその傾向が強く、加えて、若い才能あるジャズマンが多く輩出されたこともあって、新旧のジャズマン入り交じった、イタリアならではの「ネオ・ハードバップ」の好盤が多くリリースされている。
Enrico Rava & Stefano Bollani『Third Man』(写真左)。2006年11月の録音。ECMレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Enrico Rava (tp), Stefano Bollani (p)。イタリアを代表する大御所トランペッター、エンリコ・ラヴァと、精鋭ピアニストのテファノ・ボラーニの2人によるデュオ作品。まず、ピアノとトランペットのデュオという演奏形態からして「珍しい」。選曲がユニークで、有名なジャズ・スタンダード曲は見当たらない。
ブルーノ・マルティーノ、ジョビン、モアシル・サントスなどをチョイスしているところが「曲者」っぽくって好感が持てる。ちょっと古い録音になるが、当時のイタリア・ジャズのレベルの高さを体感出来る素晴らしい内容。イメージ的には、ピアノは旋律のみならず、打楽器とベースも兼ねることが出来るオールマイティーな楽器なので、ピアノをリズム隊に見立てた「トランペット主体のワンホーン」風かと思ったら「違った」。
ラヴァのトランペット、ボラーニのピアノ、双方、秘術を尽くした、パッキパキにテンション張った、凄まじいほどの即興性溢れるインタープレイの応酬。まず、ボラーニのピアノの弾きっぷりが見事。旋律とリズム&ビートの両方の役割を、いともたやすそうに縦横無尽、変幻自在に繰り出している。そして、その両方の役割毎に、ラヴァのトランペットがこれまた縦横無尽、変幻自在にレスポンスする。
収録曲全12曲、ダレたところは皆無、飽きることは無い。ECMからのリリースなので「ニュー・ジャズ」な雰囲気なのかと思ったら「違った」。あくまで「現代のネオ・ハードバップ」なデュオ・パフォーマンスである。総帥プロデューサーのマンフレート・アイヒャー、誠に「懐が深い」。
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