« 渡辺貞夫 with GJTのライヴ盤 『Carnaval』 | トップページ | 爽快感抜群の「TPサウンド」 »

2021年6月10日 (木曜日)

チック・コリアの遺作盤である。

チックが亡くなったのが、今年の2月9日。4ヶ月が経ったことになる。僕の大のお気に入り、一番推しのピアニストだっただけに、ショックはかなり大きかった。チックが亡くなってまだ4ヶ月しか経っていないのに、もう相当長い時間が経った、と思う位に喪失感は大きい。今でも信じられない位だ。

Chick Corea『Plays』(写真)。2020年8月のリリース。Chick Corea (p) のソロ・ライヴ盤である。2018年、欧州や米国のコンサート・ホールでのソロ・パフォーマンスを収録。ちなみにパーソネルは当然のことながら Chick Corea (p), 2曲のみ異なるピアノストとのデュオで、Yaron Herman(p. 2-8)、Charles Heisser(p, 2-9)となる。

CD2枚組のボリュームでのソロ・ピアノなので「飽きるかな」と聴く前はちょっと心配したが、杞憂であった。他人の曲を前半に、後半に自作曲を持ってくるなど、選曲や曲順について十分な配慮がなされており、CD2枚組、聴き始めたら一気に最後まで聴き切ってしまった。まあ、僕の大のお気に入り、一番推しのピアニストなので当然と言えば当然か。
 

Plays-chick-corea
 

ガーシュイン、モンク、スカルラッティ、エヴァンス、ジョビン、ショパン、スクリャービン、ワンダー等、そして自作曲と、自らを含めた、偉大な作曲家の系譜を探求するかの如き選曲であり、パフォーマンスである。タッチやフレーズはもちろん「チックのマナー」で弾き進められる。

冒頭の「Mozart: Piano Sonata in F, KV332」の冒頭の1フレーズを聴くだけで「ああ、これはチックのピアノだ」とすぐ判る位、チックの個性全開で、全てのソロ・パフォーマンスが展開される。他の誰かの作曲の曲だって、あの癖の強いモンクの曲だって、全てがチックのピアノなのだ。しかも、迷い、淀み、マンネリなど微塵も感じられない。

確信に満ちた、切れ味の良い、ビート感溢れるチックのソロ・パフォーマンスは見事という他は無い。温かくウィットに富んだ観客との対話も興味深く(声を聞くだけでしみじみする)、本当に楽しそうにチックはピアノを弾いている。現時点でのこのアルバムが、チック・コリアの遺作となる。演奏だけでなくコリアの語りも収録した本作は、チック者の僕にとっては聴き応え十分。

ああ、もっともっとチックのピアノを聴きたかったなあ。
 
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【更新しました】 2021.06.10 更新。

  ・Santana『Inner Secrets』1978

 ★ まだまだロックキッズ     【更新しました】 2021.06.10 更新。

  ・イエスの原点となるアルバム

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【更新しました】 2021.06.10 更新。

  ・この熱い魂を伝えたいんや


 
 
Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から10年3ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

« 渡辺貞夫 with GJTのライヴ盤 『Carnaval』 | トップページ | 爽快感抜群の「TPサウンド」 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 渡辺貞夫 with GJTのライヴ盤 『Carnaval』 | トップページ | 爽快感抜群の「TPサウンド」 »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

カテゴリー