チック・コリアの遺作盤である。
チックが亡くなったのが、今年の2月9日。4ヶ月が経ったことになる。僕の大のお気に入り、一番推しのピアニストだっただけに、ショックはかなり大きかった。チックが亡くなってまだ4ヶ月しか経っていないのに、もう相当長い時間が経った、と思う位に喪失感は大きい。今でも信じられない位だ。
Chick Corea『Plays』(写真)。2020年8月のリリース。Chick Corea (p) のソロ・ライヴ盤である。2018年、欧州や米国のコンサート・ホールでのソロ・パフォーマンスを収録。ちなみにパーソネルは当然のことながら Chick Corea (p), 2曲のみ異なるピアノストとのデュオで、Yaron Herman(p. 2-8)、Charles Heisser(p, 2-9)となる。
CD2枚組のボリュームでのソロ・ピアノなので「飽きるかな」と聴く前はちょっと心配したが、杞憂であった。他人の曲を前半に、後半に自作曲を持ってくるなど、選曲や曲順について十分な配慮がなされており、CD2枚組、聴き始めたら一気に最後まで聴き切ってしまった。まあ、僕の大のお気に入り、一番推しのピアニストなので当然と言えば当然か。
ガーシュイン、モンク、スカルラッティ、エヴァンス、ジョビン、ショパン、スクリャービン、ワンダー等、そして自作曲と、自らを含めた、偉大な作曲家の系譜を探求するかの如き選曲であり、パフォーマンスである。タッチやフレーズはもちろん「チックのマナー」で弾き進められる。
冒頭の「Mozart: Piano Sonata in F, KV332」の冒頭の1フレーズを聴くだけで「ああ、これはチックのピアノだ」とすぐ判る位、チックの個性全開で、全てのソロ・パフォーマンスが展開される。他の誰かの作曲の曲だって、あの癖の強いモンクの曲だって、全てがチックのピアノなのだ。しかも、迷い、淀み、マンネリなど微塵も感じられない。
確信に満ちた、切れ味の良い、ビート感溢れるチックのソロ・パフォーマンスは見事という他は無い。温かくウィットに富んだ観客との対話も興味深く(声を聞くだけでしみじみする)、本当に楽しそうにチックはピアノを弾いている。現時点でのこのアルバムが、チック・コリアの遺作となる。演奏だけでなくコリアの語りも収録した本作は、チック者の僕にとっては聴き応え十分。
ああ、もっともっとチックのピアノを聴きたかったなあ。
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