オルガン・ジャズの新しい融合
う〜ん、実に雰囲気のあるジャケットだなあ。タイポグラフィーも秀逸。まるで往年のブルーノート・レーベルのアルバムのよう。ジャズ者であれば、パッと見ただけで「ああ、これはジャズ盤のジャケやなあ」と思う。ジャケの文字をたどると「ジャズ・オルガン」がメインのアルバムだと判る。思わず「ジャケ買い」風にポチッである(笑)。
Delvon Lamarr Organ Trio『I Told You So』(写真左)。2021年1月のリリース。シアトルで活動するオルガン・ジャズ・ファンク・トリオの3枚目のアルバム。Delvon Lamarr (key), Jimmy James (gt), David McGraw (ds) の3人によって2015年にシアトルにて結成、ローカルシーンから全米に名を馳せていった実力派トリオのヴィンテージでポップなジャズ・ファンク。
全8曲、オルガン・ジャズを収録したインスト・アルバム。まず、グルーヴ感が半端ない。オルガン・ジャズは抑揚を付けるにはコツがあって、下手すると単調ポップで平凡な演奏になるのだが、この盤はそうはならない。アルバム全体がグルーヴの塊の様で、冒頭の「Hole In One」から、ラストの「I Don't Know」まで、ファンクネス滴る、こってこてのグルーヴ感が満載。
旧来のオルガン・ジャズを踏襲していない。基本はあくまで「オルガン・ジャズ」。しかし、リズム&ビートが今までに無い響き。フレーズやビートの展開にはヒップホップの要素を融合していて、独特の「ループ感」が漂っているところなど、今までの「オルガン・ジャズ」には無かった音の要素が耳に刺さって、ついつい引き込まれてしまう。
とにかく、オルガンがユニーク。伝統的なジャズ・オルガンの音なのですが、濁りが軽くて切れ味良く軽快、そして、反復が執拗なのと、ちょっと捻れたフレーズが癖になる。このオルガンは唯一無二。過去にこの音は無かった。エレギは、これも面白くて「こってこての従来のジャズ・ファンク」なギター。これが、ユニークなオルガンと絡んで、独特のグルーヴ感を生み出しているのだ。
オルガン・ジャズって、我が国ではあまり人気が無かった様に思う。オルガン・ジャズ独特のグルーヴ感が「俗っぽい」とされ、ちょっと横に置かれてきた様に思う。しかし、ジャズは「融合」の音楽である。この盤の様に「ヒップホップ」と融合して独特のグルーヴ感を生み出し、今までに無い新しい「オルガン・ジャズ」を創造する。いやはや、ジャズはまだまだ深化しているなあ、と思わず感心した次第。好盤です。
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