セッションを統制するスミス 『The Sermon!』
ジミー・スミスのオルガンって、初期の頃は前へ前へ出る、思いっ切り目立ちたがり屋のパフォーマンスで、時には「五月蠅い」くらいである。加えて、ハイ・テクニックで尖ったフレーズを畳みかけてくるので、かなり「耳にもたれる」部分がある。実は若い頃、僕はジミー・スミスの初期のオルガンが苦手だった。
Jimmy Smith『The Sermon!』(写真左)。ブルーノートの4011番。1957年8月25日(2曲目)と1958年2月25日(1曲目と3曲目)の2セッションの録音。ジャズ・オルガンの祖、ジミー・スミス With ブルーノート・オールスターズの録音になる。なんせ、初期の頃はバックをお気に入りで固めて、ハイ・テクニックで尖ったフレーズを駆使して、思いっ切り目立ちたがり屋のパフォーマンスだったので、初期のジミー・スミスからは珍しいパーソネルになる。
ちなみにパーソネルの詳細は、1曲目の「The Sermon」が、Jimmy Smith (org), Lee Morgan (tp), Lou Donaldson (as), Tina Brooks (ts), Kenny Burrell (g), Art Blakey (ds)。2曲目の「J.O.S.」が、Jimmy Smith (org), Lee Morgan (tp), George Coleman (as), Eddie McFadden (g), Donald Bailey (ds)。3曲目の「Flamingo」が、Jimmy Smith (org), Lee Morgan (tp), Kenny Burrell (g), Art Blakey (ds)。
前へ出たがりのジミー・スミスから、セッションをコントロールするスミスへ進化しているのが、良く判るジャム・セッションである。
フロントの管の演奏をしっかり引き立てて、しっかり鼓舞する様がとても良く判る。そして、自らのアドリブ・パートになると、従来の「ハイ・テクニックで尖ったフレーズ」を引っさげて、ガツンと電光石火なソロを披露する。以前より、むっちゃ格好良いジミー・スミスである。
1曲目の「The Sermon」では、ジミー・スミスからすると珍しい、モーガンとドナルドソン、そしてブルックスの3管フロントを従えて、特にモーガンとブルックスのプレイをバックに回って効果的に鼓舞し、ドナルドソンは、バックで支える様にソロを引き立てる。2曲目の「J.O.S.」では、コールマンの新しい響きのアルト・サックスをしっかり活かしたグループ・サウンドを披露する。
ラストの「Flamingo」こそ、オルガン、トランペット、ギター、ドラムのシンプルなカルテット編成だが、ブルーノート・オールスターズの極めつけの演奏を聴かせてくれる。どの楽器の担当もブルーノートの看板ジャズマン。1フレーズ音を出すだけで、ブルーノートの音の雰囲気が充満する。
この『The Sermon!』、先にアルバム化された、4002番の『House Party』と対の正式盤であり、未発表音源集の『Confirmation』と併せて、同一セッションからのアルバム化となっている。セッションの全貌を堪能するなら、この3枚を一気聴きすることをお勧めする。なぜ、『House Party』『The Sermon!』『Confirmation』の順にアルバム化されたのか。ブルーノートの総帥プロデューサー、アルフレッド・ライオンの深慮遠謀を垣間見たような、そんな感覚が面白い。
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