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2021年5月18日 (火曜日)

軽妙で聴いて楽しいトリオ

ブルーノート・レーベルが企画したピアノ・トリオ「The 3 Sounds(スリー・サウンズ)」。職人肌のメンバーが集結したピアノ・トリオであるが、ピアノ好きの我が国では何故か人気が低い。ジャズの老舗レーベルが「企画した」のが気に入らないのか、スタンダード曲中心で「商業臭さ満載」なのが気に入らないのか、良く判らないが、確かに「人気が低い」。

確かにジャズ・ピアノ入門本などでも、スリー・サウンズのアルバムは1枚程度しか紹介されない。ブルーノートの1500番台〜4300番台の間には 20枚程度のアルバムをリリースしていて、どのアルバムも僕の耳には「水準以上」のレベルのピアノ・トリオの演奏だと思うんですけど。こういうところが、我が国のジャズ盤評論の不思議なところ、である。

The 3 Sounds『Bottoms Up!』(写真左)。ブルーノートの4014番。1958年9月と1959年2月の録音。ちなみにパーソネルは、Gene Harris (p, celeste), Andrew Simpkins (b), Bill Dowdy (ds)。収録曲全8曲中、6曲目の「Jinne Lou」のみ、ジーン・ハリスの自作、以外の7曲はスタンダード曲で占められている。
 
 
Bottoms-up  
 
 
このスタンダード曲の演奏、アレンジが秀逸なのが、この盤の特徴。冒頭の「Bésame Mucho」を聴けばそれが良く判るが、アレンジと演奏力次第では「チープ」な演奏に陥り易いラテン調のスタンダード曲が、お洒落で粋なアレンジと燻し銀的な渋くて流麗なテクニックで、なかなかシュッとして軽妙な演奏に仕上げている。

7曲目の「Nothing Ever Changes My Love for You」など、ちょっとカリプソ調のアレンジに乗って、スリー・サウンズの個性である「軽妙」なパフォーマンスを展開、この「軽さ」が絶妙で、ピアノ・トリオの演奏が「重く」ならずに、シンプルで軽妙に仕上がっているところが、この「スリー・サウンズ」の良いところ。

軽妙でハイ・テックニックなピアノ・トリオである「スリー・サウンズ」。そんなトリオの個性が手に取るように判るアルバムがこの『Bottoms Up!』。聴いて楽しい、シンプルで判り易い「スリー・サウンズ」の面目躍如。ジャケット・デザインも洒脱で、僕にとってこの「スリー・サウンズ」、大好きなピアノ・トリオの1つです。
 
 
 

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