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2021年5月23日 (日曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・91

最近、好んで聴き直しているピアノ・トリオがある。「The 3 Sounds」である。アルフレッド・ライオン率いるブルーノート・レーベルの企画型のピアノ・トリオ。ブルーノート・レーベルは意外とピアノ・トリオ盤が少ない。そんな中で、この「The 3 Sounds」は、トリオ名義のアルバムが20枚程度、リリースされている。如何に破格の扱いの売れっ子ピアノ・トリオであったことが窺い知れる。

ただ、我が国では何故か人気が低い。ピアノ好き、ピアノ・トリオ好きの日本人ジャズ者の方々の中でも、何故か人気が薄い。スタンダード曲中心で「商業臭さ満載」と感じているのか、軽妙で聴いて楽しい「判り易さ」がいけないのか、どうにも我が国のジャズ者の方々からは人気が無い。しかし、最近やっと、ネット上で再評価される兆しが見えてきた。

The 3 Sounds『Good Deal』(写真左)。1959年5月20日の録音。ちなみにパーソネルは、Gene Harris (p), Andrew Simpkins (b), Bill Dowdy (ds)。ブルーノート・レーベルから4枚目のトリオ盤になる。トリオの3人が腕を組んで街を歩く写真をあしらったジャケット。メンバーの表情が生き生きとしていて、充実した内容が想像出来る良いジャケットである。
 

Good-deal
 

一言で言うと、The 3 Soundsの実力が遺憾なく発揮された、素晴らしい内容のトリオ盤である。収録曲全8曲中、6曲がスタンダード曲。しかも、聴いて楽しい、シンプルな曲が多く収録されていて、収録曲を見ただけでは、このトリオ盤、イージーリスニング風のライトでカクテルなトリオ盤に思えて、なかなか触手が伸びないのは理解出来る。

しかし、聴けばその印象は「吹っ飛ぶ」。活きの良いスイング感が程好い、ブルース・テイスト芳しいトリオ演奏がてんこ盛り。しかも、トリオのメンバー、三人三様、そのテクニックの限りを尽くして、ドライブ感溢れる、端正で軽妙でファンキーなアドリブ展開を披露する。それにしても実に「上手い」。上質のトリオ演奏であり、ハードバップな逸品である。

ジャズ盤紹介本などでは、まず紹介されることが無い盤であるが、どうして、その内容は「超一級品」。僕は「The 3 Sounds」の代表作の一枚と評価している。録音のバランスも良く、ブルーノート・サウンドの見本の様な音世界がこの盤にギッシリ詰まっている。今までの評価の低さは忘れて、是非聴いていただきたい逸品である。
 
 
 

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