モブレー再評価 『At the Jazz Corner of the World』
アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ(Art Blakey And The Jazz Messengers)は、ブルーノート・レーベル黄金時代の看板バンド。ジャズ・メッセンジャーズは、有望新人の登竜門的役割を果たしていて、後世に名を残した一流ジャズマンの中でも、このジャズ・メッセンジャーズ出身のジャズマンが多くいる。
そんなアート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズだが、我が国において人気の高いアルバムについてはかなり偏りがある。『Moanin'』『Art Blakey et les Jazz-Messengers au club St. Germain』など、ファンキー・ジャズの代表盤とされるものは人気があるが、他のアルバムについては、あまりジャズ盤紹介本には登場しない。う〜ん、良く判らないなあ。
Art Blakey And The Jazz Messengers『At the Jazz Corner of the World, Vol. 1& 2』(写真)。1959年4月15日の録音。ブルーノートの4015、4016番。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Lee Morgan (tp), Hank Mobley (ts), Bobby Timmons (p), Jymie Merritt (b), Pee Wee Marquette (announcer)。
ファンキー・ジャズの大人気盤『Moanin'』録音の半年後のライブ録音になる。『Moanin'』の録音時に音楽監督だったテナー・サックス担当のベニー・ゴルソンが抜けて、ピンチヒッター的にハンク・モブレーが参加してのライヴ・パフォーマンス。ゴルソンの残した「ゴルソン・ハーモニー」もしっかり残っていて、極上のファンキー・ジャズが展開されている。
特に、モーガン〜モブレーの2管フロントが好調。モーガンのトランペットはこの時期、絶好調なのだが、もう1人のフロントマン、録音の度に好不調の波があるモブレーが、この盤ではガンガンに吹きまくっている。このモブレーのテナー・サックスが一番の「聴きもの」。モブレーって、上手いのか下手なのか、良く判らないテナー・マンだったが、このライヴ盤では素晴らしいパフォーマンスを披露している。
バックのリズム隊も素晴らしいパフォーマンスで、特にティモンズのピアノが、むっちゃ「ファンキー」。もともとこのライブ盤、ファンクネス濃厚なライヴ・パフォーマンスのオンパレードなんだが、特にティモンズのピアノ・ソロが出てくると、この盤の雰囲気が、さらに思いっ切り「ファンキー」な音世界に変わる。
良い内容の上質のファンキー・ジャズがこの盤に詰まっている。のだが、意外とあまりジャズ盤紹介本には登場しない。ファンキー・ジャズは俗っぽい、という評価もあるので、それが影響しているのだろうか。
しかし、である。ファンキー・ジャズは俗っぽいなんて、俗っぽくて何が問題なのか、理解に苦しむ。とにかく、このライヴ盤には、ファンキー・ジャズという上質の「モダン・ジャズ」の優れたパフォーマンスが詰まってる。
当時のライヴ・ハウスの雰囲気をダイレクトに伝えてくれる、ピー・ウィー・マーケットのアナウンスで始まる、目眩くファンクネス濃厚なパフォーマンス。ハードバップ黄金時代の素晴らしい演奏の記録である。
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