« リヴァーサイドのギタリスト | トップページ | 軽妙で聴いて楽しいトリオ »

2021年5月17日 (月曜日)

チャレンジし進歩するモーガン

モーガンは「鯔背な」トランペッター。フレーズの終わりを「キュッ」と捻り上げる様な癖が「鯔背」。ファンキー・トランペットの代表的存在とされる向きもあるが、それはちょっと違うだろう。モーガンは、1972年2月19日、33歳で、彼の内縁の妻ヘレンに撃たれてこの世を去るまで、「チャレンジし進歩する」トランペッターだった。

Lee Morgan『lee-way』(写真左)。1960年4月28日の録音。ブルーノートの4034番。ちなみにパーソネルは、Lee Morgan (tp), Jackie McLean (as), Bobby Timmons (p), Paul Chambers (b), Art Blakey (ds)。モーガンのトランペットとマクリーンのアルト・サックスが2管フロントのクインテット編成。リズム・セクションは、ジャズ・メッセンジャーズから、ブレイキーのドラムとティモンズのピアノが参戦。ベースは先進的なポルチェンがチョイスされている。

モーガンは、1958年2月に、硬派なファンキー・ジャズ盤『Candy』を残して、一旦、ブルーノートを離れる。その後、Vee-Jayレーベルから、『Here's Lee Morgan』『The Young Lions』『Expoobident』の Vee-Jay3部作をリリースする。この3部作の内容を確認すると、演奏全体の雰囲気が、明るいメリハリの効いたファンキーなハードバップから、ちょっとモードに傾いた、新主流派な思索的でクールな雰囲気に変わっている。
 

Leeway
 

今回の『lee-way』は、再びブルーノートに戻って、Vee-Jay3部作の内容をそのまま踏襲した、モードに傾いた、新主流派な思索的でクールな内容のパフォーマンスを展開している。この盤にはもはや「ファンキー・トランペッター」のモーガンはいない。抑制が効いて、ちょっと大人しいプレイに聴こえるが、実は喜々として、バリバリ吹きまくっている。今回は完全に、マクリーン「置いてきぼり」である。

モードに傾いた、新主流派な思索的でクールな内容にチャレンジしているので、フレージングやアドリブ展開の吹き回しとかが、以前と明らかに変わってきている。これがモーガンの「既定路線」なのは、ブレイキーのサポートが揺るぎないこと、ティモンズのファンキー・ピアノも、モーガンの新しい志向に追従していることからも良く判る。

そして、その志向が「正解」なのも、ポルチェンのモーダルなベースのサポートを聴いても良く判る。バンド全体がしっかりと「モーガンの新しい演奏志向」をサポートしている。モーガンって、意外とその時その時のジャズの演奏の「流行」というのを意識している。考えるトランペッターであったことは、この辺りのアルバムを聴くと良く判る。
 
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館》の更新状況》
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【更新しました】 2021.03.06 更新。

  ・Journey『Infinity』1978

 ★ まだまだロックキッズ     【更新しました】 2021.03.06 更新

  ・Yes Songs Side C & Side D
      ・Yes Songs Side E & Side F

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【更新しました】 2021.03.06 更新。

  ・浪花ロック『ぼちぼちいこか』
 
 
Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から10年2ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 
 

« リヴァーサイドのギタリスト | トップページ | 軽妙で聴いて楽しいトリオ »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« リヴァーサイドのギタリスト | トップページ | 軽妙で聴いて楽しいトリオ »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

カテゴリー