チャレンジし進歩するモーガン
モーガンは「鯔背な」トランペッター。フレーズの終わりを「キュッ」と捻り上げる様な癖が「鯔背」。ファンキー・トランペットの代表的存在とされる向きもあるが、それはちょっと違うだろう。モーガンは、1972年2月19日、33歳で、彼の内縁の妻ヘレンに撃たれてこの世を去るまで、「チャレンジし進歩する」トランペッターだった。
Lee Morgan『lee-way』(写真左)。1960年4月28日の録音。ブルーノートの4034番。ちなみにパーソネルは、Lee Morgan (tp), Jackie McLean (as), Bobby Timmons (p), Paul Chambers (b), Art Blakey (ds)。モーガンのトランペットとマクリーンのアルト・サックスが2管フロントのクインテット編成。リズム・セクションは、ジャズ・メッセンジャーズから、ブレイキーのドラムとティモンズのピアノが参戦。ベースは先進的なポルチェンがチョイスされている。
モーガンは、1958年2月に、硬派なファンキー・ジャズ盤『Candy』を残して、一旦、ブルーノートを離れる。その後、Vee-Jayレーベルから、『Here's Lee Morgan』『The Young Lions』『Expoobident』の Vee-Jay3部作をリリースする。この3部作の内容を確認すると、演奏全体の雰囲気が、明るいメリハリの効いたファンキーなハードバップから、ちょっとモードに傾いた、新主流派な思索的でクールな雰囲気に変わっている。
今回の『lee-way』は、再びブルーノートに戻って、Vee-Jay3部作の内容をそのまま踏襲した、モードに傾いた、新主流派な思索的でクールな内容のパフォーマンスを展開している。この盤にはもはや「ファンキー・トランペッター」のモーガンはいない。抑制が効いて、ちょっと大人しいプレイに聴こえるが、実は喜々として、バリバリ吹きまくっている。今回は完全に、マクリーン「置いてきぼり」である。
モードに傾いた、新主流派な思索的でクールな内容にチャレンジしているので、フレージングやアドリブ展開の吹き回しとかが、以前と明らかに変わってきている。これがモーガンの「既定路線」なのは、ブレイキーのサポートが揺るぎないこと、ティモンズのファンキー・ピアノも、モーガンの新しい志向に追従していることからも良く判る。
そして、その志向が「正解」なのも、ポルチェンのモーダルなベースのサポートを聴いても良く判る。バンド全体がしっかりと「モーガンの新しい演奏志向」をサポートしている。モーガンって、意外とその時その時のジャズの演奏の「流行」というのを意識している。考えるトランペッターであったことは、この辺りのアルバムを聴くと良く判る。
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