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2021年5月 1日 (土曜日)

コロナ禍を捉えたソロ・ピアノ

コロナ禍が始まってから、既に1年以上が経過している。特に昨年の3月中旬から5月中旬まで、不安と緊張の日々の記憶がありありと甦ってくる。以降、「凝りもせず、思慮も無く」第2波、第3波とやって来て、今年も昨年に引き続き、緊急事態宣言下のGWとなってしまった。

コロナ禍については、世界中、各国の音楽活動が大幅に制限され、ジャズについても、普段の活動であった「クラブ」での演奏は基本的に禁止された。とにかくミュージシャンが集まってセッションをすること自体を否定されていたので、どうしようもない日々が続いた。今でも、まだまだ音楽活動の諸制限は撤廃されていない。

Brad Mehldau『Suite: April 2020』(写真左)。2020年6月のリリース。ちなみにパーソネルは、Brad Mehldau (p) のみ。現代ジャズ・ピアノの代表的存在、ブラッド・メルドーのソロ・ピアノ盤である。収録曲のタイトル「keeping distance」などを見ると「なるほど」と思う。このソロ・ピアノのテーマは「コロナ禍」である。

本作についてメルドーは次のようにコメントしている。「この盤は、先月世界中の誰もが経験したであろうことを捉えた音楽的スナップショットだ。多くの人々が共通して、また新たに体験し、感じたことをピアノで描こうとした」。
 

Suite-april-2020_1

 
メルドーは新型コロナウイルスのパンデミック下、オランダで家族とともに自粛生活を送っていたのだ。そして、自らが体験していることを基に12の楽曲を書き上げ演奏したものが、この『Suite: April 2020』になる。

切々と内省的にメルドーの自作曲が演奏されていく。限りなく優しいタッチとビートで、様々なスナップショットが語られる。そして、象徴的なカヴァー曲が2曲。ニール・ヤングの「Don't Let It Bring You Down」とビリー・ジョエルの「New York State Of Mind」。

ニール・ヤングの「Don't Let It Bring You Down」は、コロナ禍の中、自らを鼓舞するソロ・パフォーマンス。この歌の歌詞が「気落ちしてはダメだ/ただ城が燃え落ちているだけじゃないか/変えていこうとする人を見つけるんだ/そうすればきっと、道が開けるから」。

ビリー・ジョエルの「New York State Of Mind」は、コロナ禍で悲惨な状況に追い込まれていたニューヨークへの想いを託したものである。その故郷から今は遠く離れているが、故郷と呼んでいる街へのメルドーの想いである。

この盤は、ジャズライフ誌の「Disc Grand Prix:Album Of The Year 2020」に輝いた。ジャズ・ピアノとして表現した「コロナ禍の中での様々な想い」。2020年度の「Disc Grand Prix」は、他の年度にはない、特別なものとなった。
 
 
 

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