ビリー・チャイルズを聴き直す
2020年度 Jazz Life Grand Prixにノミネートされたジャズ盤を眺めていて、Billy Childs(ビリー・チャイルズ)の名前が目に留まった。ビリー・チャイルズはジャズ・ピアニスト。グラミー賞の常連だけでなく、受賞回数も多い人気ピアニストである(5度のグラミー受賞)。今まであまり聴く機会の無かったピアニストだったので、今回、しっかりと聴いてみようと思い立った。
Billy Childs『Acceptance』(写真左)。2021年8月のリリース。ちなみにパーソネルは、Billy Childs (p, Fender Rhodes, key), Steve Wilson (sax), Hans Glawischnig (b), Eric Harland (ds), Elena Pinderhughes (fl,vo), Alicia Olatuja, Aubrey Johnson, Sara Gazarek (vo), Rogerio Boccato, Munyungo Jackson (perc)。
ビリー・チャイルズ、3年振りのリーダー作になる。聴き始めて感じるのは、どこか馴染みのあるピアノの音、フレーズ、雰囲気。しかも、自分の好みにしっかりと「刺さる」。そう、1960年代以降のピアノ・ジャイアントである、チック・コリア、ハービー・ハンコックの影響が感じ取れる。どちらも僕の大好きなピアニストである。なんか納得する。
オープニング・ナンバー「Dori」は、バイヨン、パルチードアルトなどのブラジルのリズムを取り入れたサンバのナンバー。音的には現代の電気楽器と録音技術を駆使して、とても洗練された、とてもクールでパッションな「ジャズ・サンバ」チューンに仕上がっている。この1曲だけでも聴き応え十分。それにしても、チャイルズのピアノはダイナミックで流麗で、聴いていて惚れ惚れする。
ボーカルの使い方、シンセサイザーやローズの使い方などは、どこか「ジョージ・デューク」を彷彿とさせるところが見え隠れする。洗練されたライトなR&B風の「フュージョン・ジャズ」っぽいところは、どこか新しい雰囲気が漂って素敵だ。これまでのフュージョン・ジャズ、ニュー・ジャズ、コンテンポラリーな純ジャズの要素を整理整頓して、現代のジャズに昇華させた様な、壮大な音世界である。
5度のグラミー受賞」なジャズマンということで、どこか敬遠していたところがあって、不明を恥じることしきり、である。これはこれは、意外と僕の好みの音ではないか。このビリー・チャイルズのリーダー作を一気聴きしたくなった。
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