ECMジャズの「音の懐の深さ」
1960年代から70年代にかけて設立された欧州系のジャズ・レーベルについては、半世紀経った今でも、新盤をリリースし続ける「老舗」ジャズ・レーベルが幾つかある。パッと思いつくレベルで言うと、ECMレーベル、enjaレーベル、Steeplechaseレーベル。この老舗3レーベルの中でも、ECMレーベルは一番活発に新盤をリリースしている。
Anja Lechner, Francois Couturier『Lontano』(写真左)。2020年11月のリリース。ちなみにパーソネルは、François Couturier (p), Anja Lechner (cello)。フランソワ・クチュリエのピアノとアニャ・レヒナーのチェロのデュオ。このデュオの組合せからして、いかにも「ECMレーベルらしい」。
フランソワ・クチュリエは、フランスのジャズ・ピアニストで作曲家。1950年、フランスのオルレアン生まれ。今年で71歳になる「ジャズ・レジェンド」級。1970年代にフランスのフリー・ジャズ・シーンで頭角を顕したピアニスト。かたや、アニャ・レヒナーはチェリスト。1961年生まれのドイツ、カッセル生まれ。今年で60歳。クラシック音楽の技術を基本にしながら、ジャズやタンゴ、即興演奏などジャンルを超えた活動で知られる。
ジャズとクラシックのクロスオーバー・ジャズ。雰囲気は明快に「ピアノとチェロのクラシック風+現代音楽的な即興音楽」。しかし、即興のリズム&ビートは「ジャジー」もしくは「無調」。音の響きは明確に「ECMの美学」。チェロの響きがジャズのベースには無い、クラシック風な音使いと音の響きで、21世紀の「ニュー・ジャズ」な雰囲気を増幅させる。
ユニークなデュオ演奏である。ジャジーなピアノとチェロのインタープレイの応酬の中に、アルゼンチン・サンバ、カンタータから想起された演奏、ジョージア風の映画音楽、ブラヒムの楽曲などが散りばめられていて、意外と「多国籍な」音の要素のバリエーションに耳を奪われる。意外とワールド・ミュージック的な音の響きが実にユニーク。
新しい、まさに現代の即興演奏、まさにワールド・ミュージック風のジャジーなデュオ演奏である。フランスとドイツのミュージシャンによるデュオ演奏の音の響きはまさに「ECMレーベル」。背後に強烈なプロデュース力を感じる。ジャズとクラシックのクロスオーバー、そして、ワールド・ミュージック的な音世界の融合。ここでも「ジャズの懐の深さ」を強烈に感じる。
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