トミフラの『Super-Session』
トミー・フラナガン(Tommy Flanagan・以降、愛称で「トミフラ」と記す)のピアノが好きだ。初めて聴いたのが、僕がジャズを本格的に聴き始めた1978年だから、以降ずっとトミフラを愛聴して、既に40年以上、経過したことになる。
トミフラのピアノは聴いていて飽きない。タッチが明快でアドリブについては趣味良くメリハリの効いた、程好く心地良い疾走感が素敵。聴いていて難しいことは全く感じ無いが、アドリブ・フレーズに聴き耳を立てていると、意外と手の込んだフレーズを連発している。いわゆる小粋で渋い「職人芸」的なジャズ・ピアノである。
Tommy Flanagan『Super-Session』(写真左)。1980年2月4日、NYでの録音。エンヤ・レーベル(Enja label)からのリリース。ちなみにパーソネルは、Tommy Flanagan (p), Red Mitchell (b), Elvin Jones (ds)。リーダーはトミフラ、トミフラのピアノが一番愛でることが出来る「トリオ」編成。
共演のベースのレッド・ミッチェル、ドラムのエルヴィン・ジョーンズ共に、トミフラのピアノとの相性はバッチリ。メリハリが効いて疾走感溢れ、トミフラのピアノの「技」にクイックに反応する。この最高のパートナーを得て、トミフラはバリバリ弾きまくっている。
全6曲、トミフラのオリジナルが2曲。他の4曲はスタンダード曲。特に、この多くのジャズマンに演奏された、いわゆる「手垢の付いた」スタンダード曲の解釈とアレンジが素晴らしい。トミフラの叩き出すフレーズは常に「新しい」。何処かで聴いたことがあるフレーズやアレンジがあっても良いもんだが、トミフラの叩き出す音にはそれが皆無。
バックのリズム隊もそうだ。ただ単純にバックでリズム&ビートを叩きだしているのでは無い。トミフラの叩き出す創造性豊かなフレーズに反応して、それを引き立て、その魅力を倍増させる様なリズム&ビートを、自分達の持つ「技」を駆使して叩き出している様が良く判る。素晴らしいインタープレイの応酬。
トミフラは伴奏上手、バッキング上手の「燻し銀」的ピアニストで、バックに回ってこそ、その実力を発揮する、なんていう古い評論を未だに見ることがあるが、それはトミフラの優秀性の「一面」だけを強調しているに過ぎない。この盤を聴いていて、その感を強くする。トミフラはフロントを張る、ドライブ感溢れる、小粋に典雅にバリバリ弾きまくるバップなピアニストである。
しかし、1980年というフュージョン・ジャズ全盛期に、よくこんな小粋で渋い内容のピアノ・トリオ盤を録音し、リリースしたものである。エンヤ・レーベル、良い仕事してます。
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